2014年4月6日日曜日

第六回新宿屑句会 結果発表ぉ!(^〇^) …その2

1点~無点句はこちら! 力作揃いです。

どうぞご堪能くださいませ( ^ω^)♪


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03.睦む雲去りレグルスの真っ裸(梶原由紀)…1点


○大変いいです。春の空にまばゆく輝き始めたレグルス。それを真っ裸と表現したのが詩的です。そう、レグルスは星の名前ですよね。これが分からなかったので皆さんとらなかったのかなと思いました。皆が知ってる星の名前だと伝わったかもしれない。明星とか。でもここはレグルスを使いたかったんですよね。分かります。(小笠原玉虫)


09.チンピラに刺されたような木の芽時(北大路京介)…1点


○チンピラと木の芽時の響き合いを買いました。チンピラを刺していれば特選に推していたと思います。(天宮風牙)
△風牙さんに同意! わたしも刺されてしまったほうがいいような。こういう悲劇が、春にはまたとてもよく似合います。刺されてドシャッと崩れ落ちる方もまたチンピラで、その背中にどんどん花吹雪が降り積もってゆくのでした。(小笠原玉虫)


10.雛祭晴れて戸籍に×印(紫蝶)…1点


○離婚は不幸なことと決めつける時代は終わりつつあるのかもしれません。(藤井雪兎)
△いいですね。これは晴れやかな気持ちで離婚してそう。夫と別れてワンルームで一人暮らしというかたちで新生活を始めた元妻。結婚したときも実家から持ってきた雛人形を、そうだ出してあげましょうとがらんとした部屋に麗しく飾り付けてせいせいした気持ちでいる姿が目に浮かぶようです。キミの未来に幸あれ。(小笠原玉虫)


16.木の芽時乳差す指の丸さかな(なかやまなな)…1点


○いろいろな解釈の仕方があると思いますが、『指の丸さ』という所から、ガールズラブ(女性同士の恋愛)を想像しました。木の芽時は、精神状態が不安定になりやすい季節とも言われています。こういう時に、陥った禁断の関係。少しどきどきします。(鈴木桃宙)
△上記↑桃宙さまの評、面白いですね! 成る程、ガールズラブ。わたしは育ちのよい男の愛人というふうに読みました。貴族っぽいたおやかな指なのかなと、男なのに。色白でふっくらした、お坊ちゃん育ちの愛人。これは詠み人の自解を伺ってみたい。(小笠原玉虫)


19.独り身や山羊啼く度の春愁ひ(小笠原王虫)…1点


○山羊の鳴き声って切ないような気にさせられる事がありますね。独り身の寂しさと
春愁と山羊の鳴き声、3点の相乗効果が素晴らしいです。(紫蝶)
△田舎で、いつまでも嫁さんを貰えないまま四十七歳くらいになっちゃった男性の景かなと思いました。こののんびりした雰囲気は休日でしょう。しかも、日曜の十六時くらいって感じがします。日が傾きかけている。ああ、休みも終わる……メェェ……あ、ふと、さみしい。これは物憂いですね。(小笠原玉虫)


22.春嵐着ぐるみの中真っ裸(紫蝶)…1点


○全裸であることを周りは気づいていないというシチュエーションにひかれました。握手をしても真っ裸、子供に手を振っても真っ裸、かわいいポーズをとっても真っ裸、ボクならなにかするたびににやにや呟いちゃいますね、着ぐるみの中で♪(タケウマ)
△これはスゴい。スゴい句です。着ぐるみの中真っ裸! 何という発想かと思いました。着ぐるみが完全にアリバイになっています。でも、可愛いその姿の中は真っ裸。こんなやつを子供に触れさせるのはいかがなものであろうか、などと義憤にすらかられそうになります。この不道徳感最高。(小笠原玉虫)


27.うずくまる蝶のこめかみ思い出し(十月水名)…1点


○昆虫の蝶なのか化粧してる夜の蝶なのか。後者だと思って、殴ったか殴られたか。
とにかくテンプルパンチ食らったんでしょう。トラウマになってるのかな。(北大路京介)
△蝶のこめかみとは、、、と考えてこんでしまいました。が、この雰囲気、好きです。(なかやまなな)
△こちら、自分では意味が分からないなと思っていたのですが、京介さんの評面白いですね。DVを受けている水商売の女性の景とすると、悲しく、また生々しい作品です。お酒の匂いがしてくるようです。(小笠原玉虫)


35.おちんちん欲しがる裸の女の子(パラレル)…1点


○挿入してほしいのか、それとも自身につけたいのか。前者だったら、正直、取りたくありませんが、後者だったらすごく良い。「欲しがる」の意味をどう捉えたかによって、女性同士の恋愛という見方もできますね。女性目線で、裸の女の子を見ている戸惑いと、罪悪感。愛する女性の女性器に、一番感じる場所を入れたい。擬似性器では物足りない。いやらしさの中にも、そんな切ない思いが伝わってきました。(鈴木桃宙)
△あ、そうか、挿入してほしいとも確かにとれますね。わたしは小さい女の子が、どうしてわたしにはお兄ちゃんみたくおちんちんないの!って言ってるってことなのかなと思っていました。うむー。確かに挿入してほしいって意味だったらやだなぁ。俳句としては「で?」って問い返したくなる感じ。幼女だったら俳句として成り立つと思うけど、皆様はどうお考えでしょうか。(小笠原玉虫)


54.暖かくなって秋の服を着ている(木曜何某)…1点


○服装で心の内面を表現している。(前田獺太郎)
△分かる。わたしもあまりおしゃれさんでないので、秋の服と春の服は一緒だったりします。ほんとは春はもう少し明るい色とか着たいんですけどね。(小笠原玉虫)


04.エロ本をママがみつけて春の雷(小笠原玉虫)…無点


△はい、わたくしのです。うそぉ!? 無点!? ちょういいと思ったのにぃ!! ピカッゴロゴロゴロ…ってなってるんですよ? 息子のエロ本見つけたママが。漫画的で非常に屑句会っぽい句と自信満々に出させていただきましたのに、賛成者がひとりもいらっしゃらない。顔洗って出直してきますorz(小笠原玉虫)


13.眩しいぜ掴まされた斜面林(前田獺太郎)…無点


△あらまぁ……騙されて、いい土地と思って、使い道のなさそうな斜面林を掴まされちゃいましたか……。何とか無事に処分出来ることを心よりお祈り申し上げております。(小笠原玉虫)


23.彼来ればナンバー5に着替えをり(パラレル)…無点


△マリリンモンロー!! (なかやまなな)
△いいですね。恋人は合鍵を使って部屋に入ってくる。自分はナンバー5だけをまとった姿で、あら、来たの? くらいに余裕を持ってベッドに横たわっているのでしょう。けれどほんとは待ちわびている。この心の綾がいいですね。(小笠原玉虫)


24.妄想あれこれ膨らむ木の芽時(文月さな女)…無点


△妄想「の」に敢えてしなかったのは何故なのかな? 定型になることを避けたかったのかな? そこちょっと気になりました。春にいろんなことを考えて悶々とするの楽しいですよね。春の危ういわくわく感にわたしも胸を膨らませました。(小笠原玉虫)


25.春夕焼け部屋のカーテン閉めました(圓哉)…無点


△ちょっとさみしい感じが漂っていていいですね。わたしの住んでる地域では、日没を知らせる音楽が夕焼け小焼けで、町のスピーカーから流れるのですが、あれ、日曜なんかに聞くと妙にさみしい気持ちになるんですよね。あれが聞こえてきて、ふと立ち上がってカーテンを閉める。そんな光景を想起しました。(小笠原玉虫)


26.侍にエスプレッソとワッフルを(鈴木桃宙)…無点


△撮影の合間の休憩の景かなと思いました。はいカーット、そしてお侍姿のまま、ワッフルにかぶりついてエスプレッソを流し込む。もしかしたら休憩時はワッフルとエスプレッソと決めている大物俳優なのかもしれない。高○英樹で脳内再生されました。(小笠原玉虫)


28.ピーコ屋のあんちゃん僕はここです(前田獺太郎)…無点


△ピーコ屋って分からなくてググってしまいました。成る程、海賊版の販売屋さんか~。僕はここですってなんだろ、ピーコ屋さんに見つけてほしい? 海賊版が欲しいということかしら。うむー。ぼったくられそうなムードが漂ってますね。(小笠原玉虫)


33.地鶏ではうまく撮れない風邪を引く(圓哉)…無点


△「地鶏」と「自撮」をかけたのかな。これは故郷に複雑な思いがあるひとって感じがしますね。風邪ひいて心細いんだけど故郷のものはなーんか拒絶したいぞ、みたいな感じかなと。深読みしすぎでしょうか……。(小笠原玉虫)


34.コーヒーどんどん苦くなり町に可愛い子増える木の芽時(木曜何某)…無点


△春、明るい色のお洋服のお嬢さんたちが街に溢れる。苦めのコーヒー(エスプレッソかな?)を飲みつつ、窓からそんな往来を見てるのかなと思いました。もしかしたらそんな春の景を苦々しく見つめているのかもしれません。春は華やぐからこそさみしさも浮き彫りになる季節。そんなことを考えました。(小笠原玉虫)


37.木の芽時両手付かせて突く突く突く(小笠原王虫)…無点


△王虫せんせい暴走しておりますね(笑)。けれど個人的には勢いがあって大変よろしいと思います。満開の桜の下での青姦ですねこれは。(小笠原玉虫)


38.冴返り薄き乳房に脈走る(梶原由紀)…無点


△景が美しいです。(なかやまなな)
△これはうつくしい。寒さをこらえて全裸でいる景と詠みました。しかも、性的な光景ではなく、それこそ絵画のモデルをしているように思います。恥ずかしくなんかないぞと描き手をきっと睨み返している少女の姿が目に浮かびます。ちいさな膨らみに青い血管がうっすら透けていることでしょう。(小笠原玉虫)


40.馬はぱかぽこかわずはがっこぴょんと跳ぬれば春の来て(琳譜)…無点


△リズムが都都逸みたいで楽しい。。童謡みたいな世界観が可愛らしいです。そういえば昔大宮駅の真ん前でお馬を引いてる人を見て仰天したことがあります。ポニー? かなり小型の馬でした。お馬は春がよく似合いますね。(小笠原玉虫)


44.掻き分けて弄つて濡れて木の芽時(紫蝶)…無点


△これはエロい。「え? 春の山の景ですけど?」なんて、しらばっくれてはいけません。女性の陰毛はうつくしい。大事なことなので再度申し上げてみました。(小笠原玉虫)


47.誰よりも気付いて早い木の芽どき(琳譜)…無点


△いいですね。素直に春の景を詠んだ句という感じがします。文字通り新芽をみつけてときめいたのでしょう。始まりの予感がしますね。(小笠原玉虫)


48.原皮(もとかわ)を師に剥がされひの木神聖になる(琳譜)…無点


△「師に」がよく分からないのですが、気持ちのよいヒノキの香りを感じる句で、好きだなと思います。(小笠原玉虫)


49.汝の舌の長く伸びゆく木の芽時(鈴木桃宙)…無点


△何それこわい!!>< こわいけど好き。こういうオカルティックな句、非常に好きなのです。ここの「汝」はカメレオンとかそういう生き物じゃなくて、なんかよからぬあやかしか、よろしくない性癖を解き放とうとしている変態さんって気がしますね。(小笠原玉虫)


51.海も遊んでくれないヌーディスト・ビーチの背広男(前田獺太郎)…無点


△これは「こんなところでも解き放てなかった男」って感じがしますね。ヌーディストたちはおろか海とも遊べない、背広では。けど、こういうこだわりのある孤独者って、個人的には魅力を感じます。この異邦人感からはきっとクリエイティブな何かが生まれる。(小笠原玉虫)


第六回新宿屑句会 結果発表ぉ!(^〇^) …その1

大変お待たせいたしました、

第六回新宿屑句会、結果発表をさせていただきます…!!






六代目屑王は…





タケウマさんです!

おめでとうございます!!(^〇^)♪♪♪


そして既に先行発表済みですが、
栄えあるタケウマ賞は……なかやまななさま!!

おめでとうございます!!

ななさまには本日「親子ガエル」発送済みです♪

本当におめでとうございます!!!(^〇^)♪♪♪





さて、以下が投句全作品の点数と選評でございます。

今回も投句数が多かったため、「その1」では2点句までを、、

1点~無点句は「その2」に掲載させていただきました。

どうぞ皆様、お楽しみくださいませ…!!!


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01.少年の指舐めてゐる木の芽時(タケウマ)…9点


◎これは実際に少年の指を舐めているのではなく、そういう情けない(?)妄想をしてしまう木の芽の頃と読みました(笑)ということで屑句会の特選。(文月さな女)
◎舐められるよりも舐めたいマジで♪ いや、どっちもいいですね…。でもこれ、それ以上の行為はないんですよね。そこがいいんです。(うぐいす)
○句型変えれば更によくなると思いますが映像的な韻文ということで選びました。(天宮風牙)
○竹宮恵子さんの風と木の歌を思い出した。(Jirotyo)
○稲垣足穂は永遠です。(圓哉)
○けがをしているところを舐めているのかも知れませんね。そこで、ハッとやらしいことをしているのではと思ってしまう。(木曜何某)
○むしろこの少年になりたいです。(藤井雪兎)
○いいですね。わたしは初老の男性が少年の両手を捕まえて、こう、舐め回してる景を思い浮かべました。少年の瑞々しさと木の芽が響き合っています。そして木の芽時特有のあぶなっかしさもよく表れていると思います。こういう定型句が好き。(小笠原玉虫)


31.靴下を最初に履く男と迎えた朝だ(うぐいす)…7点


◎この男の習慣を受け入れられたら、ふたりは幸せになれるでしょうね。習慣はその人の人生の一部なのですから。(藤井雪兎)
○全裸に靴下だけの男は、なんか嫌。まずパンツを履いて欲しい。(北大路京介)
○色々な意味で夢から覚めてしまったということを、「朝」で上手くあらわしている。
淡々とした断定形も、目覚めの感じを良くあらわしていると思う。(個人的にはこういった男性は結構好みである)(梶原由紀)
○面白い。なぜ下着からではないのかな。冷え症なのか。何となく痩せた男の人だと思いました。(木曜何某)
○何かを後悔したような女性目線がすっと入ってきてくすっとしてしまいました。ただ個人的には好みだなぁ、、こういう人。これからの人生がとても楽しくなりそう、、でもなにより「何故靴下なのか」真面目に質問したくてうずうずしそう。(琳譜)
○ボクもこういう男になりたかった…(タケウマ)
△えっタケウマさん、なりたいの?(驚) これは生々しいですね。この男女は恋人とか夫婦ではない気がするな。なんか勢いでそうなっちゃったんでしょうね。で、朝が来て、冷めた目で相手を見ている。自分が冷めてる時って相手もきっとそうだろうなと思って気まずい。わたしだったらあまり見られないようにそそくさと支度をしてしまいそうです。(小笠原玉虫)


30.ブラジャーの跡に電車走らせる息子(木曜何某)…6点


○ブラジャーの跡ってつくもんなんですか? 息子の無邪気さが良いですね。(北大路京介)
○息子で良かったです。それにしても子どもの目は不思議ですよね。(なかやまなな)
○女性としてのコンプレックスを刺激するほど、線路の見立てが秀逸である。息子におそらく悪気はないのだろうが、その無邪気さが一層残酷だ。幼い息子と解釈したが、成人済みの息子として読むとまた違う面白さがあるかも知れない。(梶原由紀)
○お母さんに甘えたいかまってもらいたい一心の幼い男の子の様子がよく出ていると思いました。(白熊左愉)
○ブラジャーの跡を線路に見立てる息子が愛おしい♪(タケウマ)
○母子家庭のイメージ。つまりこれはサイズが合っていない。もしくは長い時間つけて働いてるんです。息子さんがこの意味に気付く日がきっと来るでしょう。(藤井雪兎)
△わたしも母子家庭なのかなと思いました。お母さんは半裸で腹ばいにぐでっとなる程疲れているのでしょうね。そこへ無邪気な息子がおもちゃの電車を走らせる。この子のためなら頑張れる。そんな景でしょうか。(小笠原玉虫)


17.木の芽時若い夫婦が越してきた(うぐいす)…5点


○どんな夫婦かはまだわからないけれど、何かが始まる予感がして、なんとなくそわそわする。(mekeke)
○いろいろと妄想をふくらませてくれる存在ですよね若夫婦って。なにかを期待したら、すぐに引っ越したりして…。(十月水名)
○物語の始まりのような17文字だと思う。(Jirotyo)
○ウェットになりすぎず、季語に引っ張られすぎず、事実を淡々と並べているのがいいですね。(藤井雪兎)
○こちら、「木の芽時」句の中で最も秀でていると感じました。若い夫婦と木の芽時の取り合わせがぴちぴちと瑞々しい。また、新しく近所に加わったメンバーということで、皆が好奇の目で見ている感じも伝わってきます。上品な色香。物語が始まる期待感でいっぱいですね。十七文字でこれだけ想像力を掻き立てる。実に見事です。(小笠原玉虫)
△硝子のコップをそっと壁に。(なかやまなな)


41.真っ裸ゴーゴーゴー(文月さな女)…5点


◎修飾語がないため、句におかれている状況が一切わからない。しかし、そこが良い。最小限の語を使って潔く言い切ることで、狂気の底が見えない句に仕上がっていると感じる。(梶原由紀)
○「マッパゴーゴー♪ マッパゴーゴー♪ マッパゴーゴーゴー♪」。頭の中でリフレインが止まりません♪ どうにかしてください♪(タケウマ)
○シンプルながらも妙に開放感と勢いがあります。こういう気持ちになれる場所が、日本にもあったらいいなあ。(藤井雪兎)
○エロ句が多い中、これはあっけらかんとした明るい真っ裸ですね。句会当日タケウマさんがおっしゃっていた「日の当たる全裸」という言葉そのものと思います。この勢いでどんどん突き進んでいって頂きたいです。(小笠原玉虫)
△オヤジギャグ!!(なかやまなな)


43.くるぶしから俺と判明(十月水名)…5点


◎全身をバラバラに切断された死体。その体の持ち主が死の世界から自分自身の死体を見ている場面を想像した。(Jirotyo)
○ラブホとか顔映さない防犯カメラのはずが、くるぶしでバレタのかなーと。面白いです。(なかやまなな)
○判明したくなかった心情が、くるぶしという微妙な部位によく出ていると思う。何を見たのかを伏せてることで、「判明」のインパクトが大きくなっているのも良い。(梶原由紀)
○ニュース番組でなにやら逃げ惑う足元の映像が流れると、家族が一斉に"俺"を見る。特徴的なくるぶしに対するカメラ側の配慮がなかったのはわざとなのかもしれない。と色々想像して楽しませていただきました。 (琳譜)
△これなんでとらなかったんだろ。いま見返すと好きすぎる。わたしもバラバラ死体と読みました。死んでしまえば「俺と判明」なんて、案外あっけらかんと受け入れることが出来てしまうのかも、と思って、なにやら希望のようなものが湧いてきました。(小笠原玉虫)


55.木の芽時釣り銭くれる女の手(mekeke)…5点


◎欲を言えば女に具体性があるとなお良かったと思いますが、提出55句の中ではそれでも頭一つ抜けていると思います。(天宮風牙)
○レジ打ちの女性の手にもドキドキしてしまう純情な男性かしら。(文月さな女)
○その手は柔らかく表情は優しく、そして男はストーカーになるしかない。(圓哉)
○すごくこわい。ちょっと引いてます…(前田獺太郎)
△こちらも句会当日非常に話題になった句。これはうまい。釣銭をもらうときにふと指先が触れたイメージ。何も始まっていないけれど始まりの予感がありますね。受け取った小銭も彼女の体温であたたかいような気がします。(小笠原玉虫)


02.モンローのヌードの写真春愁(jirotyo)…4点


○春愁と、華やかではあったが薄幸な人生だったモンローがぴったりマッチ
していると思います。彼女のヌードはきっと艶やかで美しかったことでしょう。(紫蝶)
○モンローにはあまり裸のイメージがなかったので、ヌードを初めて見た時はむしろ驚きました。昔の写真ですからあまりいやらしくなく、絵画みたいで。春愁とその絵画みたいな印象が響きました。(藤井雪兎)
○大変いいです。モンローの薄幸さと春愁がピッタリですね。凝固したモンローの笑顔と裸体を見ながら深い溜め息をついているのでしょう。(小笠原玉虫)


05.真っ裸で国歌歌う時が来ました(藤井雪兎)…4点


◎待ちに待っていた訳ではないのに「いよいよですね!」と言いたくなってしまう。深い知識がある訳では無いが、古代オリンピックが思い浮かぶ。いよいよ原点回帰する時が来たのですね。全世界中継は無しなんだろうか。実況するアナウンサーの着衣の有無も気になるところです。というかそもそも古代オリンピックで国歌は歌っていたのかしらん…。(mekeke)
○ハイ木の芽時です(天宮風牙)
○たぶん、みんな全裸で歌うんだよね。全国民全裸で国家斉唱…… そのとき、日本はどうなっているのでしょうか……(タケウマ)
○これはもう投句された時どうしようかと思いました。狂ってやがる……いろいろ振り切ってしまっていますね。きっと歌っている本人は、一点の曇りもない澄んだ心で、明るく歌っているのでしょう。ドン・キホーテ的な狂った明るさです(小笠原玉虫)


07.アトリエからモデルの逃げる木の芽時(藤井雪兎)…4点


◎描き手に嫌らしい気持ちがあったわけではなく、ヌードデッサンのモデルが急に嫌になったのでしょうね。エロいなあ。モデルのいないアトリエで、芸術家は何を描くのでしょうか。(鈴木桃宙)
○老画家のアトリエか。若いモデルの女性は春になって、この薄暗い部屋にいるのにウンザリして恋する小鳥たちの鳴く外へと出て行ったのだろう。逃げ出したモデルには明るい春が、残された画家には淋しい春がやってきたのだろう。(文月さな女)
○なぜ逃げ出したのかが気になるところです。(白熊左愉)
△この場合、画家に襲われそうになってキャー! みたいな、緊急→急激な動きの「逃げる」ではない気がしますね。桃宙さま、左愉さまもおっしゃるように、モデルは「あああ、やめたー」みたいに、ふとうんざりして堂々と去って行ったのでしょう。キャー!と逃げられるよりも残された方に寂寞感が漂いますね。春の愁いにピッタリの佳句だと思います。(小笠原玉虫)


36.真っ裸いやなら落花三枚までよし(なかやまなな)…4点


◎落花三枚でなにをしろと言うのでしょう♪ 雪兎さんは「こことこことここを隠す」と具体的な部位を指差してましたが、それって隠したことになりませんから♪ 全裸より確実にエロくなりますから♪ 今回の裏テーマは「エロ」と確信していたボクからタケウマ賞をあなたに♪(タケウマ)
○むしろ落花で隠して欲しい気持ちを感じたり。落花があるとないとでは、同じ人間の裸なのに全く違うものになってしまう。たった一枚の落花でこんなに気持ちが乱れるのかと思うと、面白い。(mekeke)
○たった三枚で、どことどことどこを隠せというのか。相手が女か男かで印象がまるで変わりますね。女ならセクシーだけど、男ならただのバカ。(うぐいす)
△陰毛の上に桜の花びら一枚、って、なんかスゲーいい。これは詩になりますね。ただし女性に限る。男だったら……うん、爆笑ですね。(小笠原玉虫)


42.全身のほくろを繋げてみたからだ(mekeke)…4点


◎どんな絵になるか楽しみ。クライヴ・バーカーの作品みたい。最後の「からだ」は、「体」と断定の「(~した)からだ」をかけているのかな、とも思いました。(十月水名)
○不思議な美しさを感じました。てんつなぎパズルみたいで、なんだか楽しそう。自分の体は、どんな模様を描くんだろう。(鈴木桃宙)
○ほくろをつなげるとどうなるかはわからない。でも裸の体を囲う結界のようなものができる気がする。 (Jirotyo)
△この点繋ぎ、やってみたい!!(なかやまなな)
△星座みたいな模様がたくさん出来そうですね。ほら、ここにオリオン座。あちらには白鳥座……。(小笠原玉虫)


53.よく眠れた夜の隣町が火事だった(うぐいす)…4点


◎読んだ瞬間に特選を決めました。よく眠れたというのが良いですね。(木曜何某)
○中々熟睡も許さない日々。ぐっすり眠ったその日が誰かにとってはとても辛い日で何処かで安らいでいる自分を責めてしまう。自分にとって不幸な日が誰かにとってはまた幸せの日であったり、、。幸せをしっかり噛み締めてながら責めて縁の有る人達に送れる気持ちを整えたいなぁという感じがこの短さの中に詰まっていたのでとらせていただきました。 (琳譜)
○自分が幸せな時、他人もそうだとは限らないと思うと、何だかモヤッとしますね。うまくいかないもんです。(藤井雪兎)
△こちら、句会当日非常に話題になった句。宇多田ヒカルの「誰かの願いが叶うころ」を思い出しました。平和は均等に訪れるものではない。そんな冷徹な事実がさらりと詠まれていると思いました。この現実から目をそらしてはならない。(小笠原玉虫)


15.三月やピエロの顔の殺人鬼(jirotyo)…3点


◎ぞっとする感じがしました。ピエロの仮面の笑顔とその奥の殺人鬼の表情を対比すると怖いです。(白熊左愉)
○怖い♪ ピエロの顔の殺人鬼もすごく怖いけど、三月はもっと怖いわ~♪(タケウマ)
△何故か雪兎さんの前のアイコンを思い浮かべました。(なかやまなな)
△上記↑ななたんの評わらたw わたしは伝説の猟奇殺人犯ジョン・ウェイン・ゲイシーを想起。調べてみたら、彼が死刑になったのは三月だったのですね。ちなみに誕生日も三月。ううむ。ぞくりとしますね。(小笠原玉虫)


20.真っ裸の山頂から水星が見える(小笠原玉虫)…3点


◎ハゲ山なのだろうか。山に森林がないと降水量が多い時にがけ崩れや洪水が発生してしまう。水星の「水」がそういうことを指してるのではないだろうか。火星や木星じゃダ
メなのだろう。(北大路京介)
○なにもない山の頂から水星を見てる景と読むこともできるけど、ここはあえて、全裸で山の頂に立って水星を見てる景と読みました。水星は、限られた時間帯しかみることのできない星だそうですから、心して全裸となったのかなあとも♪(タケウマ)
△はい、わたくしの句です。京介さんとタケウマさんからいただいた評がステキすぎて嬉しい。剥き出しの山頂から自分も真っ裸になって水星を見ている景です。水星ってほんとは肉眼で見えるのかどうか分かりませんが、もっとも太陽に近い惑星を、裸で、決意を込めて眺めているみたいなものを詠みたかった感じです。(小笠原玉虫)


21.一芸にも秀でず汚い抱き枕(北大路京介)…3点


◎独り汚れるほど抱きしめてきた抱き枕。毎夜の涙なのかただの汚れの放置なのか。汚れで全てがコントロール出来ていないと思い込むことこそが問題なのではないかとつい言いたくなるような悲しい寝姿が浮かびます。汚いに色々な思案が入っている。ありがちな語句なのにとてもうまく使われているのでとらせていただきました。  (琳譜)
○このような句に心惹かれる僕はつらい。(圓哉)
△「一芸も」でいいと思いました。大丈夫。抱き枕を抱き方は上手いですよ!(なかやまなな)
△万感胸に迫るものがある句ですね。汚い抱き枕があるということは、パートナーなんかもいなくて孤独なのかもしれません。でも枕を抱き締めながら何者かになろうともがくことはうつくしい。心から応援したくなります。(小笠原玉虫)


32.祖母の虚言とめどあふるる木の芽時(白熊左愉)…3点


○おじいちゃんのこと思い出しているのかな。「とめどあふるる」ところにおばあちゃんの神秘さが感じられます。(十月水名)
○「ばあちゃんはな、昔◯◯小町と呼ばれてな、まあひっきりなしに男どもが来たわいな」(なかやまなな)
○これ好きです。おばあちゃんはもう正気じゃない気がする。恍惚に入ってしまっていますね。この、足元がぐらりと揺れるような不安感が非常に好きです。(小笠原玉虫)


46.はこいりのマネキンを洗う電話が鳴る(十月水名)…3点


◎ひとつひとつの言葉はきわめて普通なのだけど、組み合わせるとかくも不穏な句になるとは。歌詞の単語自体は問題ないけど放送自粛になった楽曲みたい。とてもいい。(前田獺太郎)
○とあるブティックか何かの風景と考えれば、ありふれているのかもしれませんが、何故か不吉なものを感じます。マネキンのせいでしょうか。(藤井雪兎)
△こちら、句会当日に非常に話題になった句。実に面白いですね。マネキンてなんか非常に特殊な気持ちを惹起させるアイテムで、売り場にあったら珍しくも何ともないものだけど、個人宅にあったら不穏すぎてぎょっとしますよね。なので、場所がどこなのかによって印象がかなり変わってくる句と思いました。わたしの読みではこれはゴミ屋敷的個人宅と思います。住人はちょっと特殊な電波を受信してるかたで、彼だけに分かる理由でマネキンを入手し、洗っているのでしょう。そこへ電話が鳴る。電話が鳴るってことで、この異常な光景も登場人物にとってはごく普通の日常であるということを感じさせて、この剥離感が読み手に不安を呼び起こすのですね。短い情報の中に沢山の仕掛けがなされています。これは巧みな詠み人ですね。(小笠原玉虫)


50.木の芽時夢終わってもやってくる(圓哉)…3点


◎くーる、きっとくる、きっとくる、、、。夢終わってもくるって怖いですよね。木の芽時って明るい感じがします。しかし実際。一斉に芽吹く。しかもなんかぷつぷつしたやつ。なんてとても怖い景なんですよね。(なかやまなな)
○わたしは単純に希望ととりました。昨年、長年の夢についに諦めをつけたのかもしれない。けれど春はまた巡ってくる。いまはふさぎ込んでいるけれど、そんな自分に関係なく春がくるってことは、祝福でもあり呪いでもあるって気がしますね。けれど、自然界の、そういうこちらを顧みない様子にはやはり救われるものを感じます。(小笠原玉虫)


06.赤色のシャベルざくりと球根植う(白熊左愉)…2点


○絶対球根以外の何かが埋まってる!「赤色」と「ざくり」がそう思わせます。きっと鮮やかな花が咲くんだ…。(うぐいす)
○何かの始まりには赤がよく似合いますね。(藤井雪兎)
△見たまんまが句になっているような気がしていただかなかったのですが、あとからじわじわよい感じがしてきました。「シャベルさくりと」がいいのかなあ。質感が伝わりますよね。(タケウマ)
△シャベルざくりとまではスッゴい好き。ほとんど肉体的に気持ちいいと言っていいくらい。「植う」の音と読み方がちょっと気になっちゃったんだなぁ。でも好き。好きな句ですよ。(小笠原玉虫)


08.鳥肌は胃を泡立てて木の芽時(梶原由紀)…2点


○雪兎さんは意味が分からないとおっしゃってましたね。でも、意味がわからないからひかれる句ってのもあってよいような♪ なにを象徴しているのかはわからないけど、「鳥肌は胃を泡立てて」は木の芽時の季感をよく表しているように思いました。(タケウマ)
○わたしは分かるーと思ったな。ぞわぞわとまず鳥肌がきて、胃もなんだか、痛いまではいかないけど不穏な感じで、ちょっと不調な体調と気持ちの不安定さが木の芽時をよく表していると思いました。こういう不安な感じの句は大変好みなのでとらせていただきました。(小笠原玉虫)


11.夢も見ず眠れる薬木の芽時(小笠原玉虫)…2点


○薬で眠る眠りは眠るというより落ちるという感覚。夢の記憶がないほどに眠れることはいいこととは思いつつ、そこに薬があることになんとなく後ろめたさを感じてしまう。来年は私だけでぐっすり眠る木の芽時を迎えたい。(mekeke)
○春先は眠くなりがちな季節なのに眠れないひとの辛さが伝わってきます。(白熊左愉)
△はい、わたしです。春、不安定で眠れぬ夜を無理矢理薬でねじ伏せて、深い眠りに落ちる、みたいな光景を詠みたかったのです。でも「眠る」と「春」はつきすぎでしたね。と、いまは反省している。(小笠原玉虫)


12.もう栓捨てて飲もう(mekeke)


◎酒瓶の栓を捨てて全部飲み干そうとしているのではないかと見ました。思い切りの良さがいいですね。私もこんな飲み方をしてみたい!(紫蝶)
△ワインかなと思いました。えーい、どうせ残らないよ、栓捨てちゃおう!みたいな。これもまた春だからこそ成せる業ですね。短くまとまっているのも大変好みです。(小笠原玉虫)


14.真っ裸ペディキュアの指しゃぶり春(小笠原王虫)…2点


◎今回の特選は迷いなくこちらに。先に断っておきますと、王虫せんせいの中の人はわたくしではありません(笑)。大変いいです。昼間から美女といたしているのですね。可憐な足の爪をゆっくりしゃぶって愛撫する。ステキな春の景です。(小笠原玉虫)
△ペディキュアだから、足ですよね。真っ裸で、多分跪いて、指しゃぶる。大人だ。大人だ。(なかやまなな)


18.春宵のうなじに白き蛇放つ(タケウマ)…2点


◎どことなく艶めいている「春宵」に不穏な雰囲気を加えて良質の短編小説のような想像力を読み手に働かせる素敵な佳句です。(圓哉)
△これまた非常に色っぽいです。蛇を使ったプレイなのか。と、いうより、女の白いうなじから白蛇を連想するような色香が立ち上っていて、また、それを見ている男の視線が蛇のようにねちっこいという意味かなととりました。これは男女双方が蛇を放っているのですね。二匹の蛇が絡まり合うような強烈なセクシーさが漂う句です。(小笠原玉虫)


29.春星や多分出来ものばかりの背(なかやまなな)…2点


○春、満天の星を見上げて見えない自分の背中に背負った余計ないろいろを嘆いたのか。(文月さな女)
○どこかどんよりとしたものを抱えている姿勢が好きです。(前田獺太郎)
△これはさみしい気持ちになる句ですね。初老で貧しい男性のイメージ。生活が荒れているので背中がぶつぶつだらけなのでしょう。そのぶつぶつだらけの背中を星空の景と重ねたか。荒んだ感じでありながら、春星のせいで微かな希望が感じられる不思議な雰囲気がありますね。実に面白い句と思います。(小笠原玉虫)


39.初夜の時と同じこと言ってる(藤井雪兎)…2点


○あまりしゃべらないもののような気がしますが、どこか面白い。(十月水名)
○男の方が言われているのでしょうか。何て言ったのかが気になります。愛の言葉なのか、もっと違うことなのか。(木曜何某)
△「死にそうだわ」あれから50年。そしてまさかの腹上死!(なかやまなな)
△いやいや、この詠み手は愛情深いですよ。何しろ初夜の時に言ったことを覚えていてくれているってことですよ? ユーモラスだけど深い愛情を感じますね。(小笠原玉虫)


45.春昼の剃られて全裸になる途中(タケウマ)…2点


○昼日中から剃毛プレイでしょうか・・・なんともハレンチで妖しくてエロチック!
毛を剃り落としてつるつるになった後はやること一つですね!(紫蝶)
○それにしても今回の句会では、皆さん真昼間からエロいことばかりしておられます。素晴らしい。先程陰毛のうつくしさを説いたばかりですけれど、まるでないのもまたうつくしいと申し上げておきましょう。陰毛がなくなってより一層裸になる。誰かにそうさせられる。裸って何なのかという哲学的な疑問すら生じてまいりました。こういう定型句が好きなのです。(小笠原玉虫)


52.変身の印の鱗木の芽時(jirotyo)…2点


○この鱗は、変身する前の姿の名残と読みました。魚ではなく、蛇ですね。首筋のあたりにぽろぽろと。(うぐいす)
○不思議系にひかれるタケウマです♪ なにに変身したのか? どんな鱗なのか? あれこれ想像するのが楽しい♪(タケウマ)
△これは蛇女のイメージです。嫉妬が燃え盛ってついに蛇に転じたか……。でも蛇に成り切ってしまえば楽になれる気がします。(小笠原玉虫)




→→→ その2に続きます!!