2015年6月27日土曜日

第九回新宿屑句会 結果発表ぉ!(^〇^)

大変お待たせいたしました、

第九回新宿屑句会、結果発表をさせていただきます…!!






九代目屑王は…同時優勝でダブル屑王!!





北大路京介さんとタケウマさんです!

おめでとうございます!!(^〇^)♪♪♪


AV延滞と元死刑囚大人気でした。

本当におめでとうございます!!!(^〇^)♪♪♪





さて、以下が投句全作品の点数と選評でございます。


どうぞ皆様、お楽しみくださいませ…!!!


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04.AVの延滞料で救えた命がある(北大路京介)…10点

◎ああ…これは募金とかしてないわ、延滞料払ってる方に一票!と、思わず笑ってしまいました。これも人間のひとつの本能なのかも。(このはる紗耶)
◎AVではなくともそうなのですが、とても悔やまれますね。自分だけではなく遠くの命と繋げて嘆いているのが勝手で良いと思います。(木曜何某)
◎自身の精子を殺している間に、誰かの命を救うことを考えることが楽しい句。延滞している間も見続けたのでしょうね。AVの延滞料が350円だとすると、ビッグイシューが買えるなと思いました。そのうち180円がホームレスの方の収入となります。他にもインターネットで検索すれば、100円でできることなんてたくさんでてきますね。(鈴木桃宙)
○「救えた命がある」はCMなどで聞いた覚えのあるフレーズ。それにAV、しかもそれを延滞したと付け加えられて、フレーズが非常に空々しく言われているような感です。延滞の主は何を考えているか、もしかしたら命について大して考えていないようにも取れる怖さを感じました。皮肉的と思います。(風橋 平)
○この句の主人公、人間臭くて私は好きです(笑)。罪悪感を感じているところにまだ救いがあるからでしょうか。性と生のせめぎあい、のようなものも感じられて良いですね。(紫蝶)
○選んでおいて何なんですけど、AVの延滞料じゃなくてもいいよね~♪ いろんなものの無駄を世界を救うために使えるのにね~。問題は、延滞した間中ずっとそのAVを見てたのか!ということだね~。見続けたほうに500円(AVの延滞料分)賭けます♪(タケウマ)
○お、おう。これはほんとにお、おう。以外返しようがないですね。このように世界平和に思いを馳せるようなお人柄でありながら、何故延滞なんてしたのか。AVを。繰り返します。AVを!! 延滞すんなよ!!(小笠原玉虫)



07.元死刑囚として白く揺れてをり(タケウマ)…10点

◎死刑が執行された「元死刑囚」なのか、何らかの理由で死刑をまぬがれた「元死
刑囚」なのかわかりませんが、「白く揺れてをり」という描写が、人間として大
切な何が失われた姿のようでドキッとします。(しま)
◎死刑を解かれた身、あるいは刑死した身。元々は死ぬはずであって、人としての輪郭が薄れているようなところを的確な言葉選びで表現していると思います。これが「陽炎」などの語を使ったら全くこの空気が失われると思います。そして要は、「~として揺れており」と揺れている自己を認識しているということじゃないかと。だからこそ、魂が抜かれたような悲しみがあるんじゃないかと。凄いです。(風橋 平)
◎いいですね。しずかでさみしい光景です。元死刑囚ってきくと冤罪で解放されたようなイメージがありますけど、執行されたあとなら……やはり「元」死刑囚ですね。胸にせまるものがある光景です。(小笠原玉虫)
○冤罪だったのかしら。疑いも晴れ堂々と生きていてもいい筈なのに今もなお白く揺れている。世間の冷たさ世の無情を感じます。切ないお句ですね。(文月さな女)
○「白く揺れてをり」…ということは執行されてしまったのでしょう。ついさっきまで生きていた人がボタン一つで死んでしまった。元死刑囚がどんなに悪い人でも、嫌な気持ちになりますし、やっぱり死体は見ていて気持ちの良いものではありません。ここでいう「白」というのは、死体の色であり、人間本来の美しさなのでは…と思いました。ぞくぞくくる句です。(鈴木桃宙)
○冤罪だったのでしょうか。拘束されている間、いつ刑が執行されるのかビクビクし、白くなってしまった。それは髪かもしれないし、他の部分かも。有罪無罪の白黒ともかかってるかもしれませんね。冤罪、しかも死刑囚の心、筆舌に尽くしがたいですね。(北大路京介)
○タナトスを扱う句を取る傾向が小生にはあるが、それ故作中のタナトスの扱い方には厳しくしているつもり。そんな中この句はフィクションを詠む句ならではの世界観が垣間見える。ノンフィクションとなれば話は別だが。(前田_獺太郎)



18.元々抵触してる(琳譜)…6点

◎元々~に定職や停職への反発する響きも感じます。パンクで力強くてとてもスキです(endou huma)
○何に、なのかがわからなくてぞくぞくします。(しま)
○何か法やルールが変更されたので確認してみたら、前から抵触していた。おもしろいですね。(木曜何某)
○※運営者注 コメントなし(五月が丘はさみ)
○特選に限りなく近い並選。スゴいですねこれは。抵触っていうからにはよくないものなんでしょう。生まれながらの悪です。わたし恐ろしいです。でもどうしようもなく惹かれます。(小笠原玉虫)



20.元に戻りそうに割れるなよ(木曜何某)…6点

◎不可逆な物事に対して人は愚かにも可逆を望み、改めて不可逆であることに打ちのめされる。そんな人の生まれ持った哀しい性情をコンパクトに詠んだ。今回の一番です。(前田_獺太郎)
○うーん。共感しました。綺麗に割れたばっかりに諦めが付かないんですよね。いっそ粉々になってくれていれば…。接着剤で付けたものの、やっぱり元には戻らない。虚しいですよね。(文月さな女)
○これ惜しいなぁ、、私も今回やっちゃったのですが視点がもう少しずれていたら間違いなく特選に即決めでした。とても素敵です。これザ正統派!みたいな句に仕上げて欲しいという願望がフツフツ湧いていますw(琳譜)
○これかなり好きです。うわ、どうしよう……でも、これ、くっつければ何とか……って未練をもってしまう感じの壊れ方なのでしょう。でも戻らない……かなしい……そう言えばわたくし、去年PCにラーメンぶっかけて壊したんですけど、あれもね……拭いてしまえば全く大丈夫そうに見えたのに……のに……(小笠原玉虫)
○※運営者注 コメントなし(五月が丘はさみ)



25.君にはクマに見えていた雲に濡らされている(木曜何某)…5点

◎読んで少し切ない気持ちになりました。この「君」がこの世にないものに思えたのはなぜだろう。「濡らされている」のは、その雲から降る雨に、なのだろうけど、雲を見て涙を流している、とも読んでしまうのです。(吉村一音)
◎特選です。子どもが雲を指さし「くましゃん、くましゃん」と言っているとこ
ろから、その雲が大きく黒く発達し空を覆い、容赦なく傘のない者たちへ雨を降らす。
くまのプーさんに接する気分でリアル熊に近づいて行ったら爪でざっくり殺られてしまうといったような空想と現実のギャップを感じさせる句ですね。(北大路京介)
○一緒にいた君が「あの雲、クマの形」と言った雲から雨が降ってきたのですね。無邪気な発言に「かわいい♪」と思った天罰なのだと思います。ん、ずぶ濡れも二人だったら楽しいって……、リア充はこれだから…(タケウマ)
△とってもいいですね。何でわたくしこちらを取らなかったんだろ。こちら、タケウマさんがおっしゃるように、一緒に雲をみていた恋人がクマみたいなかたちねーとか言ったあと帰っていき、その後雨がぱらつき出したってことなのでしょう。時間の経緯をうつくしくい表現出来ていると思います。クマみたいという恋人もとても可愛い。可愛い恋人たちって感じがします。もしくは、孫がそんなこといったあと帰っていき、少しさみしい気持ちで雨に濡れているじいちゃんかばあちゃん、という解釈をしても、胸がキュンとします。(小笠原玉虫)



38.白犬は天使レモンの庭にいる(小笠原玉虫)…5点

◎愛犬の追悼句をありがとうございました。あれから庭仕事の度にこのお句を思い出しては存在を感じて心癒しています。これからずっと忘れられない句になりました。特別なお句。特選です。(文月さな女)
○文月さな女さんの愛犬、あさ吉くんを思い出します。絵画のような、遺影のような、優しい色彩の切なくて愛しい景です。(このはる紗耶)
○レモンは美しいレモン色をしているけど、レモンの葉もまるでおとぎ話の絵のように、あざやかな緑色。さみしいのに、さみしさを感じさせない色彩。白犬が暖かく見守ってくれている。(鈴木桃宙)
○あさ吉くんの句ですね。レモンの木のあるさな女さんの庭でしょう。追悼句として一票♪(タケウマ)
△あさ吉くん追悼句です。さな女さまのうつくしい庭で微笑んでいたうつくしい白い犬のことを、わたくしは決して忘れません。(小笠原玉虫)



14.元栓を締めるおわかれの一工程(しま)…4点

◎最終の優しさのような、優しさとはまた別なような、複雑で微妙な機微を感じますね。(五月が丘はさみ)
○別れ際の握手のようで触感が残ります。身にくっと締まる、踏み出していく感じもしていいと思いました。(endou huma)
○ 「一工程」と句にはありますが、私には最終工程に思えました。元栓をしっかり締めることで、未練やら何やらを断ち切ってお別れするのかもしれません。(紫蝶)
△いいですね。引っ越しの景と思います。がらんどうの部屋。最後にガスの元栓を閉めて、出ていく。あたらしい毎日に心を躍らせながらも、少しさみしい。そんな風景を思い描きました。(小笠原玉虫)



16.語尾にニャをつけて元嫁(北大路京介)…4点

○ニャをつけてしまったから元嫁になったのか、元嫁が思いもよらずニャを付けてきたのか・・・おもしろくていいですね(endou huma)
○ちょっと何があったんだとちょっと心配しますね。(しま)
○元嫁がニャとつけて話してきたのか、ニャを付けたせいで別れてしまったのか。(木曜何某)
○「何々にゃ♪」とかいうムカつく女性いるよね~。元嫁となっても仕方ないよね。そんな女性と一度は結婚した自分もしっかり見つめなおそう♪(タケウマ)
△これはうざい。会いたくもないのにばったり会ってしまい、しかもなんか媚びてる……って状況なのでしょう。勘違いコスプレとかもしてそうです。これ「元嫁」だから味がありますね。元彼女だったらダメージは少ないのに、一度は添い遂げるつもりになった相手なんですよ。いろんな意味で心が痛くなってくる名句です。(小笠原玉虫)



08.元は人であった一握を海に風に(前田_獺太郎)…3点

◎特選です。遺骨を散骨しているのですね。故人はおそらく海が好きだったのでしょう。寂しくもありますが、ある種美しい光景だと思いました。(紫蝶)
○散骨葬の景だと受け取りました。波の音、頬を撫でる風、青い空、その中へ消えてゆく遺灰。静かで祈りに満ちた、さらりとした文言なのに胸にガツンときた句です。(このはる紗耶)
△これはうつくしく悲しい。これは故人と内緒の約束をしている詠み人である気がする。普通にお骨を拾ったときに、そっと少しばかりの遺灰を頂戴してきたのでしょう。そして、船に乗る。甲板からそっと、故人が愛した海に。お墓に全て収めるよりも、故人は自由になれる気がします。元死刑囚の句と並んで「元は人であったもの」のかなしさをうつくしく詠めた句という気がします。(小笠原玉虫



10.元勲の写真と共に夏座敷(風橋 平)…3点

○イメージが浮かびます。お盆って感じがします。(と共に夏座敷)法事でしょうか。賑やかな感じもします。またこの日がやってきたという響きも感じて好きです。(endou huma)
○いかめしい昔の政治家の写真が飾ってある座敷で、何かの折に、一人で座ってい
る羽目になったって感じでしょうか。風通しのいい和室に所在なさげに客として
座らされている感じがいいなと思います。(しま)
○太陽高度の関係で明暗のコントラストが強烈な夏の古民家の座敷、暗がりとなった長押に判然としない古い写真や賞状。夏休みの少年少女を待ち構える冒険やオカルトを匂わせる。(前田_獺太郎)
△いいですね。高いところに掛けてある軍服姿の曽祖父の写真を見上げながら、ひんやりと青い畳の上に寝転んでいるのでしょう。この時聞こえてくる蝉の声はひぐらしのような気がする。夏休みは何故もの悲しいのか。それはきっと完璧にしあわせだから、なのだと思います。そんな夏のもの悲しさをあざやかに切り取りました。(小笠原玉虫)



30.ここに心臓があって星を眺めるばかり(吉村一音)…3点

○圧倒的な自然と対峙する時、そこには意識の視点を超えたただの一個の命があるばかりである。そんな境地に踏み込んだ一句。(前田_獺太郎)
○いいですね。ふつうにほんとにいい句です。とりますこれは。生きてるって感じがします。悩み深い様子でもあるけど、星は光っているし心臓は力強く脈打っている。きっとこの詠み人は大丈夫!(小笠原玉虫)
○※運営者注 コメントなし(五月が丘はさみ)



05.天使居ぬ仏間でオナニーする人ぞ(endou huma)…2点

○オナニーの語源となったオナンは、神の怒りに触れて殺されてしまったといいます。
もしかしたら、天使に見つかったら殺されるのではないでしょうか。(北大路京介)
○これは酷い。俳句としてはとっても面白いけれど状況はとっても酷い!! 天使には遠慮するのに、仏様には見られてもいいっていう。どうして仏様ならいいんだ! 祖先だから? ご先祖様の白黒写真が苦虫を噛み潰したような顔をして見下ろしていそうです。(小笠原玉虫)



12.根元までくわえて歯形を刻んだ(紫蝶)…2点

○昔っから、歯形を付けるのは恋の沙汰。と思うのは自分だけでしょうか。
どんなコトをしていても、歯形を付けるほどの愛憎が湧く。それを意外?な場所に付けることで印象深くしている効果があると思います。最後に、刻む、とあるせいか、事の終わりにせめて傷を残して行くようで、切ないです。(風橋 平)
○「根元まで」で検索するとエロいホームページがたくさん出てくる不思議…。この句も多分、エロなんだと思います。自分の名前や、ハートマークではなく歯形を刻むのがマニアック。そういう性癖か。(鈴木桃宙)
△えーと……痛そうです……あっごめんなさい、何の根元か分かりませんよね。わたくしが思ったものとは全然ちがって、そう! きっとイカの足とか? をガブッといったのかもしれませんよね! ヘンなことを想起して大変申し訳ございませんでした!!(動揺)(小笠原玉虫)



17.歯のない顔が笑って新宿はさびしい月(タケウマ)…2点

◎出鱈目に生きることでなんとか生き延びられた人の側面が“歯”と日本一の風俗街を抱える“街”とを並べることで優しく伝わりました。素敵です。(琳譜)
△貴重な新宿感のある句。せつない匂いがする。(前田_獺太郎)
△みんなのアイドル☆歌舞伎町のあの人を想起。どぎつい態度と笑顔で哄笑していても、繊細さをそっと抱えているあの人だからこそあんなにも皆から愛されるのでしょう。新宿はチンピラの街でありさみしんぼうの街でもあるのですね。(小笠原玉虫)



21.また止められている人魚と二人乗りの男(前田_獺太郎)…2点

○もし乗っていたのが自転車ならば、ただでさえ二人乗りは禁止されているのに、人魚と二人乗りとは...止めた警官も処分に困るでしょうね(笑)。(紫蝶)
○これ分かんないね~。また止められていると……何度も…… ま、まず人魚と二人乗りってのが面白い。またやっちゃうんだからこの行為がやめられないと。禁断の二人乗りって気がします。まぁ、二人乗りは禁断か…(タケウマ)
△バイクでいつも人魚と二人乗りをしている男。これ、人魚は本当に人魚ってんじゃなくて、萌え系抱き枕とかそういうもののような気がします。アリエルの抱き枕をおぶって信号待ちをするスクーター。「またキミか!」いつもの巡査さんの声。シュールだけどにくめない変態です。(小笠原玉虫)



22.五月雨さみだれクロワッサン抱いて眠ろう(このはる紗耶)…2点

○「さみだれさみだれ」の響きが心地よい。雨で見えない三日月を思っているのでしょうか。ほんとにクロワッサンだったら、朝にはクズまみれですね。(吉村一音)
○五月雨さみだれというリフレインとクロワッサンがいい感じです♪ うっとりしました♪(いわしのから揚げを食いながら♪)(タケウマ)
△いいですね。ストレートにいい句です。わたくしが所属しております結社では非常に好かれる感じの句と思います。憂鬱な雨だけど胸にはお気に入りのお店のクロワッサンを抱きかかえている。傍らの紫陽花はあざやか。可愛らしい世界観と思います。(小笠原玉虫)



24.カエルも御つかいなのだろうほら雨が降ってきた(前田_獺太郎)…2点

○かわいらしい。そうか、カエルは天の御つかいか。でもこれは小さなアマガエルであってほしい。ガマガエルでは、ちょっと。(吉村一音)
○あいさつ句、そして天使句としていただきました♪ まあ、カエルと雨の因果関係はわからないけれど♪(タケウマ)
△当句会への挨拶句でしょう。誠に有難うございます。句としても、いいですね。可愛らしいけれど甘くなりすぎずにすっきりまとまっています。カエルは雨の神様の御つかいなのでしょう。嬉しそうに彼らが鳴いたら、ほら、雨。いまの季節にぴったりな一句となりました。(小笠原玉虫)



27.ここ通る時いつも火事場の匂いする(しま)…2点

○本当はしていないのに、火事のことを思い出されて匂いを感じているのでしょうか。(木曜何某)
○これって、火事が起こっているわけではないのに、ものが焼け焦げていく火事場の匂いがする。なにかよからぬものが秘められている場所なのでしょう。日常の中に異界への入り口が潜んでいるのですね。(タケウマ)
△タナトスや非日常、あるいは生物の本能としての火へ警戒心がただよう「火事場」という言葉。テーマは好きなのだがどこかに一個助詞を入れた方が口で訓んだときにすっと入ってくるのでは。(前田_獺太郎)
△いいですね。こちら大変好きです。タケウマさんの解釈に全面的に賛成。ここは前に火事があったけれど、いまはキレイに復旧されていてそんなことがあった面影もないんだけど、やっぱりなんか不穏な雰囲気が残っているのですね。そういう場所ってこわいけれど何となく気になって、わざと近くを通ったりしてしまいますよね。いいですね。こういう微妙な不穏さを、簡潔な表現でズバッと捕まえた。お見事と思います。(小笠原玉虫)



29.涙は出ているけれどこれは嘘泣き(鈴木桃宙)…2点

○嘘泣きの上手い人、人を欺くのが得意な人、いますいます。生きていると色んな人に遭遇するけど、冷ややかな視線でその一端をきっぱり言い切っている句ですね。その勢いが小気味良いです。(このはる紗耶)
○何をもってウソ泣きとするのか、考えさせられました。心が入ってないんでしょうね~。涙が流れているからと言って信じてはいけませんね。かように小悪魔は恐ろしい。(小笠原玉虫)



31.元はくらげであった足がくさい(吉村一音)…2点

○前世が海月だったということなのでしょうか。海月で義足を作ったのでしょうか。臭いを感じるのは後者ですね、海月製の義足。一見ステキに見えるのに臭うというところが面白いです。(北大路京介)
○拙句「よくはたらいた足がくさい」に似ているなと思い、でもこっちのが上ですね。キモチワルイ人魚的?な生き物を想起。くらげが転生してひとになったんだけどなんかぐにゃぐにゃの足だしくさいみたいな。こういうの大好き!!(小笠原玉虫)



32.月曜ねじ伏せた焼きそばを喰らう(小笠原玉虫)…2点

○これ、ねじ伏せた、で切れると取りました。「食う」では駄目だったのかが気にかかります。月曜、平日最初の日をやっとこさ乗り越えても、食うのは何の豪華さの欠片もなく焼きそばというのがリアルです。明日の為に深酒なんてできない、などといったところでしょうか。「~ねじ伏せた/~喰らう」と切れ字もなくぶっきらぼうに言っているのが、労働の奴隷(は、過言でした)のように自分からは何もできずただ疲れている生活を思わせます。だからこそ、自発意思的に感じる「食う」という動詞では足りないとも感じます。でも生活臭にあふれているのが、好きです。(風橋 平)
○日曜日に残ってしまった焼きそばをタッパーに押し込んで月曜のお昼に一人虚しく食べること…ありますね。もはや美味しくもない焼きそばを機械的に口に詰め込み、そしてそれが着実に身になってしまうのです。ああ。(文月さな女)
△拙句ですけど。うーん、いま見直すと切れるところが分からない……。「月曜をねじ伏せてやったぞ! さて焼きそばでも喰おう」ってことだったんだけど、まるで焼きそばが月曜をねじ伏せたみたい。推敲しないとダメねー。(小笠原玉虫)



37.天使よりあずかる庭や時計草(風橋 平)…2点

○これもあさ吉くん句だと読みました。おかあさんが大切にしてきた庭では、今も天使(あさ吉くん)が遊んでいるのですね。時計草の花言葉が「聖なる愛」というのもいいです。(吉村一音)
○時計草ってとても肉肉しい姿ですよね。大罪やら十字架を抱えて禍々しくありながら天命を預かる天からの使い、、言葉がスッキリおさまり綺麗に景がみえました。  (琳譜)
△トケイソウ→イエス受難の花というつながりでしょうか。こういう衒学的な作り方、好きです。(前田_獺太郎)
△いいですね。初夏の庭の穏やかな光景。トケイソウはかわいいっていうよりはちょっとぎょっとする趣がある花ですけど、トケイソウっていう名前が小学校低学年的な可愛らしさがある。天使も遊びに来たくなる祝福された庭なのでしょう。(小笠原玉虫)



01.棺の中の祖父の股間が元気(鈴木桃宙)…1点

○やっちまいましたね。新宿屑句会の代表作ともいえる「ジジイの社会の窓から万札」を彷彿させる雰囲気。当句会の雰囲気もついに固定してきたのかと思うと感無量です。蝋のように青白い顔で横たわる祖父。しかし股間は……ジャキーン!でしたか。死後硬直の作用なんかで本当にありそうですよね。祖父の最後の主張なのか。それとも故人は「おいやめろ俺の体よ」と草葉の陰で赤面しているのか。実に味わい深い句です。(小笠原玉虫)



03.残量の僅かな吾はサイ...ボー......g(五月が丘はさみ)…1点

○面白い。名乗っているうちに充電が切れましたね。手塚治虫『火の鳥』のロビタを思い出しました。神よロビタを救いたまえ。胸がぎゅっとなる切なさでいっぱいです。人でないものに人のような心があるとしたら。これは文学の永遠のテーマのひとつのように思います。永遠のテーマが十七文字にぎゅっと込められました。(小笠原玉虫)



13.くつした片割ればかりなり(endou huma)…1点

○片割ればかりのくつした  の方が心に欠けたものまでみせられたのかな?と読ませていただきました。とても素敵なものを見つけて詠まれていてとらせていただきました。 (琳譜)
△日常の寂寥感や無力感をテーマにした句はものすごく好きなのだが、口で訓んだときに「なり」はない方が欠落感が増したのでは。すごく迷いました。(前田_獺太郎)
△あるあるある……もううちの旦那には同じ靴下ばかり買い与えようと考えるようになりました。そうすれば、どの組み合わせでも大丈夫ですものね! ほんとに腹立たしいことです。(小笠原玉虫)



33.天使に見てから蕎麦アレルギー(北大路京介)…1点

○会場では「見てから」を「みてから」と読んでしまいましたが、これは「天使をまみえて」と読むのが正しいのですね。なるほど、天使は「見た」なんて言っちゃいけないよね。それ相応の敬意が必要ですね。さて、天使に謁見した罰(なのかどうかはわかりませんが)が蕎麦アレルギーという落差が味わい深いです。(タケウマ)
△も、申し訳ない、意味が全く分かりませんでした……。「に」って助詞がこの句を分からなくしてるな。タケウマさんの解釈のように、「見てはいけない天使というものを見てしまった! バチがあたって蕎麦アレルギーにされてしまった!」ってことなのかな。こちらの解釈だと神罰が蕎麦アレルギーって非常に微妙な感じで面白い。けどわたくしは一見して意味を掴み兼ねました><(小笠原玉虫)



02.元彼と ぱったり出会う 歌舞伎町(内田きよし)…無点

△元彼ってこの世で一番会いたくない人ですよねぇ……これはいろんな状況が考えられますね。男が夜の人になっていた場合。その逆。もしくはどちらも会社の飲み会のあとでちょっと羽目を外した感じで歌舞伎町を練り歩いていたら、同じことをしている相手に会ってしまったか……どの場合にしても、お互い「あ」と思うだけで通り過ぎていそうです。次のドラマは敢えて求めず。そういう態度が我が身を救う場合もある。そんなことを思ってしまった句でした。(小笠原玉虫)



06.足元にゴムの散らばる夏の朝(紫蝶)…無点

△このゴムは……やっぱりあのゴム? 夜中に「散らばる」程のゴムを消費したのですね。元気なことはいいことだ。だけどゴミ箱にくらい入れましょう! 先生と約束だ!(小笠原玉虫)



09.天使の人形と擦り切れた絵本棺にはそれだけ(このはる紗耶)…無点

△これはふたつの意味にとれますね。子供さんが亡くなって天使の人形とお気に入りの絵本を持たせてあげたのか。はたまた天使の人形とお気に入りの絵本を埋葬するじぶんだけの儀式だったのか。わたくしは後者が好みです。秘密の埋葬で子供時代をひっそりと葬った景のような気がします。実にわたくし好みの世界観です。(小笠原玉虫)



11.「元気」とふメール炎昼の防護服(このはる紗耶)…無点

△いいですね。原発句ですね。暑い中防護服に身を包んで原発の処理作業をしている人に「元気?」とメールが来たのでしょう。送り主は家族か恋人か。作業員とメールの送り主の両方に感情移入してたまらない気持になりますね。原発問題が安全に解決することを心よりお祈り申し上げます。(小笠原玉虫)



15.元野良いまやわが家の女王だ(小笠原玉虫)…無点

△保護した野良猫がうつくしい御猫さまになり、家族みんなひれ伏している。そんな光景を詠んでみました。全ての猫にあたたかいおうちがありますように!(小笠原玉虫)



19.割り切れぬ大三角と冬の息(五月が丘はさみ)…無点

△「大三角」は夏のと冬のがありますので、てっきり夏の大三角かと思ったら「冬の息」と続く。うーん、謎解きしたくなりますね。当句会は季節感は重視しておりませんが、いまこのとき何故冬の大三角を敢えて詠んだのか。冬に割り切れぬ思いをなさったのかな。満点の星の下、忸怩たる思いを抱えそれでも生きるしかないのが人間なのかもしれません。(小笠原玉虫)



23.衣替えいかれぽんちの羽根の跡(琳譜)…無点

△こちら、ちょっと意味が分からなくて、なので完全にわたしの想像で言ってしまいますね。衣替えして夏の服を出していたら、去年着ていたDQN丸出しのデザインの、ウィングとか描いてあるTシャツとか出てきちゃって「あああ……」って我ながら呆れているのかなと。去年の夏はツレとブイブイいわしてたんだけど、秋に素晴らしい女性に出会って電撃結婚、そしてお堅い職業に就いて生まれ変わったように暮らしていて、ブイブイ時代のことなんてすっかり忘れていたのでしょう。これは素晴らしいお嫁さんに感謝ですね。(小笠原玉虫)



26.五月雨や天使が用を足してゐる(紫蝶)…無点

△随分と勢いがいい。それに天使ってそんなにも巨大だったかしらん。梅雨には良し悪し色々なことを感じるとは言え、いかにいいところを見つけようとやはり梅雨は鬱屈、と相場が知れている矛盾をこんな風にさらりと表現するとは思ってもみませんでした。天使を主格に持ち出さず、五月雨の喩に持って来た発想にも完敗。(風橋 平)
△面白い。五月雨は天使のおしっこなのかも、という発想ですね。ふつうはおしっこなんてかけられたらうわっと思いますけど、天使ならば仕方がない。もしくはこの詠み人はおしっこプレイが好きなのかもしれない。ご自分の性癖を天使にかこつけて世界に向けて発信したとしたら、むむ、デキる。相当な手練れです。(小笠原玉虫)



28.元ママも 今や母に 納まりて(内田きよし)…無点

△ママがしあわせになって本当によかった! こういうしたたかな女性は本当に大好きです。男性から見たらどうなんだろ? 同性からだと天晴れと言いたくなります。小さなお子さんが二人くらいいる家庭的な奥さんなのに、何ともいえない色気が漂っていそうです。物語性を感じる一句です。(小笠原玉虫)



34.異人街来ればダリヤに花言葉(風橋 平)…無点

△NYのハーレムみたいなところを散歩していたら、あざやかにダリヤが咲き誇っていた、という光景でしょうか。ハーレムという街の匂いとダリヤがなんかスゴくよく似合っている気がします。ちなみにダリヤは「感謝」「裏切り」と真逆の花言葉を持つそうです。面白いですね!(小笠原玉虫)



35.バカボンの頬に天使の根性焼き(タケウマ)…無点

△か、可哀相だよ(´;ω;‘)ウッ バカボンはバカだから、「何するの~~~~~ぎゃーーーー熱い!!(泣)」って、じぶんが何をされるのか分からぬままに根性焼きされてそうです……何と残酷な……詠み人は真性Sにちがいありません。(小笠原玉虫)



36.つゆ晴れま家宅捜査の足の跡(琳譜)…無点

△な、何があったんだ……家宅捜索って脱税とかのイメージがありますよね。梅雨の晴れ間の酷く暑い日。ワイシャツを腕まくりした捜査員たちが次々を段ボールを運び出しているのでしょう。それを遠巻きに眺めているヤジ馬たちの、殺した息遣いも聞こえてきそうです。(小笠原玉虫)






2015年6月13日土曜日

第九回新宿屑句会 投句全作品発表ぉ!(^〇^)



今回も多数様のご参加、誠に有難うございます!!

第九回新宿屑句会、全投句作品はこちらでございます(^ω^ )♪♪♪


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<選句・選評のお願い>

特選1句、並選3句の計4句を選び、選評と一緒に

shinjukuevilrabbits@gmail.com

までお送り下さいませ。
〆切は、6/20(土) 23:59 とさせて頂きます。

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※万が一「オレのが載ってない!」なんてことがございましたら、
 Twitterの @OGA0531 もしくは @rubbishrabit
 までご連絡下さいませ。
  大至急対応させて頂きます!!


01.棺の中の祖父の股間が元気

02.元彼と ぱったり出会う 歌舞伎町

03.残量の僅かな吾はサイ...ボー......g

04.AVの延滞料で救えた命がある

05.天使居ぬ仏間でオナニーする人ぞ

06.足元にゴムの散らばる夏の朝

07.元死刑囚として白く揺れてをり

08.元は人であった一握を海に風に

09.天使の人形と擦り切れた絵本棺にはそれだけ

10.元勲の写真と共に夏座敷

11.「元気」とふメール炎昼の防護服

12.根元までくわえて歯形を刻んだ

13.くつした片割ればかりなり

14.元栓を締めるおわかれの一工程

15.元野良いまやわが家の女王だ

16.語尾にニャをつけて元嫁

17.歯のない顔が笑って新宿はさびしい月

18.元々抵触してる

19.割り切れぬ大三角と冬の息

20.元に戻りそうに割れるなよ

21.また止められている人魚と二人乗りの男

22.五月雨さみだれクロワッサン抱いて眠ろう

23.衣替えいかれぽんちの羽根の跡

24.カエルも御つかいなのだろうほら雨が降ってきた

25.君にはクマに見えていた雲に濡らされている

26.五月雨や天使が用を足してゐる

27.ここ通る時いつも火事場の匂いする

28.元ママも 今や母に 納まりて

29.涙は出ているけれどこれは嘘泣き

30.ここに心臓があって星を眺めるばかり

31.元はくらげであった足がくさい

32.月曜ねじ伏せた焼きそばを喰らう

33.天使に見てから蕎麦アレルギー

34.異人街来ればダリヤに花言葉

35.バカボンの頬に天使の根性焼き

36.つゆ晴れま家宅捜査の足の跡

37.天使よりあずかる庭や時計草

38.白犬は天使レモンの庭にいる

39.流星の根元を追って夜が明ける





2015年6月12日金曜日

第九回新宿屑句会、席題発表おおお!!(^皿^)



どうも、新宿屑句会の小笠原玉虫です。

僭越ながら、今回の席題、わたくしから出させていただきます。




↓↓↓↓↓「第九回新宿屑句会」 席題↓↓↓↓↓







「天使」









ハイッ!! 最近話題の天使です、どぉもぉ~!!

新宿屑句会も、最近句集をお出しになった

歌舞伎町の天使を全力で応援しております!!

今回は「天使」の文字を詠み込んでも、天使を連想させるだけでもOK!



本日、2015年06月12日(金) 23:59までに
shinjukuevilrabbits@gmail.com までお送り下さいませ!



味わい深い御句、お待ち致しております!!



小笠原玉虫 拝

2015年5月25日月曜日

第九回新宿屑句会、やるよ~(^〇^)♪



皆様ご無沙汰しております、新宿屑句会でございます……!!

第八回新宿屑句会におきましては、たくさんの方にご参加頂き

誠に有難うございました。

ご参加の皆様、いつも誠に有難うございます。



さてさて、新宿屑句会も、皆様に支えられて何と二周年!

と、いうわけで二周年記念句会と致しまして、

「二周年だよ☆新宿屑句会スペシャル!!」

開催致します!!

今回は、前回会場参加いただきましたスペシャルゲスト、前田_獺太郎さまより

面白いお題、お預かり致しております。

いつもとちょっとちがう雰囲気

で、お楽しみいただけることと存じます。



と、いう訳で、今回の句会情報でございます。


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第七回新宿屑句会


日時:

2015年06月13日(土) 14:00~



<投句のご案内>

形式:

定型・自由律どちらでも可
題詠1句・自由詠1句の計2句をお送り下さいませ(必須)

お題→→→「元」

ハイッ!! 「元」!! 妄想力を掻き立てられる言葉ですね!!
元妻……元軍人……
もちろん、「元気」「還元」「元素」などもOK!!
「元」の字の入った面白い俳句、どしどしお寄せ下さいませ!!


例句:

夏めきて火元は俺の家だった
網元の妻は碧眼緑雨
元夫とは私のことか豆がまかれる
ずぶぬれて元教師



なお、句会前日の2015年06月12日(金)19:00過ぎより
「席題」も発表されます。
お時間に余裕のある方は、是非こちらにもご参加下さいませ(^〇^)


投句補足説明

事前投句=題詠&自由詠の2句。イケそうなら席題も。
 つまりMAXで3句投句可能。

・事前投句2句のみ可、席題のみ1句投句も可。お好きな方で。

選句・選評必須。2回以上選句・選評をサボったかたは
 今後投句をお断りする可能性があります。


※席題について※
新宿屑句会における「席題」は、句会前々日発表&前日〆切と、
本来の「席題」とはちがったかたちをとらせて頂いております。
会場に来られないかたにも広くご参加頂くためにネットで投句募集し、
また居酒屋さんの片隅という時間の限られた場所で編集させて頂いている所以であります。
何卒ご容赦下さいませ。


投句先メールアドレス:

新宿屑句会 shinjukuevilrabbits@gmail.com


投句〆切:

事前投句、席題投句ともに
2014年06月06日(土) 23:59まで


<句会当日のTwitter実況に関して>

新宿屑句会実況係のアカウント @rubbishrabbit にて行います。

ご覧になりたい方は、こちらをフォローして下さいませ。


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味わい深い御句、お待ち申し上げております!!



新宿屑句会 小笠原玉虫拝



2015年2月8日日曜日

第八回新宿屑句会 結果発表ぉ!(^〇^)

大変お待たせいたしました、

第八回新宿屑句会、結果発表をさせていただきます…!!






八代目屑王は…





タケウマさんです!

おめでとうございます!!(^〇^)♪♪♪


海鼠大人気 で、圧倒的勝利でした。

本当におめでとうございます!!!(^〇^)♪♪♪





さて、以下が投句全作品の点数と選評でございます。


どうぞ皆様、お楽しみくださいませ…!!!


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05.少年のパンツへ海鼠忍び寄る(タケウマ)…8点

◎語句やシチュエーションの選択に脱帽です。海鼠ってそんなに動き回るイメージがなく、ねっとり這う感があるのですが、それがここでは活きてると思います。不気味な生物にジワジワ嬲られようとしている。実際にもし起こり得たら剥ぎ取って馬鹿話笑い種になりそうな所を、思わず不気味な展開を考えさせる凄みがありました。海鼠、という、「少年」の活発さからは遠い冬の季語の所為でしょうか。ところで「忍び寄る」という、意図して息を殺して近付く能動的な動詞はわざとと思いたいです。そそられますし。(風橋 平)
◎なんとも言えない味わい(?)ですね。海鼠ってとこがまた…。絶妙です!(文月さな女)
◎生々しさで特選に。海鼠は本当に海鼠なのだろうか、メタファーなのだろうか。背景の描写を省くことで、登場する物の動きがより強調されている。少年の青くハリのある肌とべちゃべちゃした海鼠は、対比的であるようにも、根底で通じているようでもある。(羅手)
○戯画的で実際にはあり得ない情景だがおもしろい。映画「スタンド・バイ・ミー」の沼でヒルに襲われるシーンを彷彿とさせる。(獺太郎)
○地元の人しか入らない、ひと気のない海辺を想起。めまいを覚えるような真夏の日差しのなか、ふと気付くと海鼠が忍び寄ってきている。うわ!と鳥肌を立てながらも、怖気ばかりでない何かを感じる。あやうい白昼夢のような瞬間を見事に切り取りました。(小笠原玉虫)


17.あと二つ穴を掘る(琳譜)…5点

◎初見一発で特選。これはねヤバいですよ。何という大胆さでしょう。もうひとつ掘ってみるなら分かる。んが、あとふたつ……??? どこ??? 未熟者のわたくしには全く見えてこないのですが、詠み人の欲望に燃えた目にはもう一箇所掘ってやりたい場所が見えるようです。こちらの句は自由詠での投句でしたが、並々ならぬフェチ魂を、わたくし、見出しました。わたくしは恐ろしい。詠み人のセクシャルに洗練された、されすぎた視線が恐ろしい。そして、恐ろしいのにどうしようもなく惹きつけられる。かように何もかも曝け出した詠みっぷりを、わたくしもしてみたいものです。(小笠原玉虫)
○読者に想像を広げさせてくれますね(笑)わずか8文字なのに上手いなぁって思いました。(文月さな女)
○「人を呪わば穴二つ」ということわざを連想しました。墓穴だとしたら、あと2人殺すというような意味になるのでしょうか。(北大路京介)
○すでに穴を一つは掘っているわけですよね。でも、それだけでは満足できない。作者の欲望を充足させるためには、さらに二つの穴が必要なわけです。どこに掘るのか、どんな穴なのか、何も明示されていませんが、具体的でないからこそ、作者の煩悩がとてつもなく大きいことが分かります。きっと、さらなる二つの穴を掘っても作者は満足することはないでしょう。「あと二つ、あと二つ」と呪文のように唱えながら、穴を掘り続ける。あとに残されるのは、無数の巨大な穴という空虚です。怖い句です♪(タケウマ)


01.淡雪あわ雪ちいさい乳輪がすき(羅手)…4点

◎ちいさな乳輪はいいですよね~♪ いや、大きな乳輪がダメということではないのですが、ちいさな乳輪が好きという呟きが、すぐ溶けてしまう淡雪にとても合っているといると思います。「淡雪あわ雪」と繰り返しながら2つ目をひらがな表記にしたのも、舞い降りながら水に戻っていく淡雪のはかなさをあらわしているのでしょう。ああ、ちいさい乳輪はもののあはれなのですね♪(タケウマ)
○やはりというかどうしても選んでしまうおっぱい星人です。(圓哉)
○いいですね。わたくしの眼前には日本画のような光景が広がりました。真綿のようにやわらかい雪が落ちてくる中、凛とした表情でうら若き乙女が全裸で立っているイメージ。小ぶりながらも熱い乳房に触れた瞬間、雪は解けて消滅することでしょう。雪と小さな乳首の取り合わせが清楚な美しさを醸し出しています。あわゆきあわゆきの繰り返しのリズムも美しいし、好き、とつぶやくように終わるところも大好き。エロスを感じさせながらも上品で、実に美しい佳句です。(小笠原玉虫)


11.あの肌に似ている湯豆腐を喰らう(風橋 平)…4点

◎とても艶やか。さらりと詠まれているのに、しっかりとエロい。肌の熱、柔らかさ、弾力、瑞々しさ。「喰らう」という言葉の選び方にうっすらSな属性も垣間見えて、お見事です。(このはる紗耶)
○古典的な展開だがそれがむしろ奏功している印象。湯豆腐の温感や質感が女性の肉体への連想につながる。(獺太郎)
○いいですね。湯豆腐って食べ物としてはとても淡白な方だと思うんですが、そんなさっぱり系をいただきながら熱い肌を思っちゃうという、取り合わせが面白いなと思いました。寒い季節ですからお食事でもお布団でもあったまりたいものですね。(小笠原玉虫)


23.もう二度と子を抱かぬ手で撫でる(北大路京介)…4点

◎子を二度と抱けない手。死の床にある皺だらけの手で子供の顔を撫でるのか、それとも子供の墓石をそっと撫でるのか。この陰のある重厚な雰囲気に惹かれました(獺太郎)
○家庭との決別の感じがしてエロティックな感じがしました(endou huma)
○これは泣ける。句会中はいくつかの説が出ましたが、わたくしはお爺ちゃんが病床で、しわしわの手を伸ばして孫の頬をゆっくりと撫でるイメージで読みました。胸に迫る悲しみ、そして韻律もとてもうつくしい。非常に優れた句と思います。自由詠での投句ですが、ほんと素晴らしい作品で、当句会みたいなふざけたところに出しちゃってよかったのかととても心配しております。(小笠原玉虫)


24.華奢という冬の桜を抱きにゆく(風橋 平)…4点

◎冬の桜は春の桜よりさらに儚げな感じがします。そんな冬の桜のような女性、もしかしたら幻かもしれない。そんな危うさを感じつつも抱きに行かずにはいられないのでしょう。とにかく情景が美しい!特選です。(紫蝶)
○美しい印象と危険な感じが入り混じって絶妙だと思いました。屑句会なので余計な妄想を呼びますね。(文月さな女)
○冬の桜を華奢と見立てたセンスに脱帽です♪ 透徹な欲望というものもあるのですね♪(タケウマ)
△冬の桜に華奢を見出す感性がすごいと思う。確かに、春より冬の方が浮世離れして、白いイメージがある。(羅手)
△「華奢」という名前の品種が、桜か、何かの花にあるのかなと思って調べてしまいましたが、見つけることが出来ませんでした。なので、これは華奢な女性にこっそり会いに行く景を詠んだのかなと解釈いたしました。「冬の桜」って言われるくらいですから、しっとりしていてそれでいて華やかで、でも何かちょっとおぼつかない、たよりなげな風情のある女性なのでしょう。しかも道ならぬ恋という気がする。と、妄想たくましく解釈してみましたが、正直なところ句意がよく分かりませんでした。皆さんはどうお考えですか?(小笠原玉虫)


26.階段を見上げればアンクレットがだなぁ(圓哉)…4点

○「がだなぁ」が素晴らしいですね。おじさんの決して口には出せない心の中でだけの呟き…。年齢からキャラクターまで全てを読者に理解させてしまいます。(文月さな女)
○語尾の余韻がニヤけた声音をリアルに想起させて、思わず笑ってしまいました。足首や脚線ではなくて、アンクレットというのが良いです。目の付け所がマニアック。そこから更に妄想が広がります。(このはる紗耶)
○口語も口語の「がだなぁ」の表現が効いている。おのれの想定が的中した男性と見られる側の女性のどちらもチープな感じが、猥雑な街をうまく切り取った。(獺太郎)
○いいですね。これはもう「がだなぁ」の勝利ですね。非常階段みたいなとこで、顔の横をふっと女性が通っていったので、あわてて見上げたのでしょう。期待したようにパンツは見えなかった。けれど華奢なアンクレットが巻きついた美しい足首が視界を掠めていった、と。くぅ~~~このアンクレットがだなぁ! ちょうよかったんだよ、ちょう!!ということでしょう。よかったですねぇとこちらまでじんわりとしあわせを覚えます。よろしゅうございましたなぁ。(小笠原玉虫)


27.足のツボだけ異様に詳しい(木曜何某)…4点

○何をたくらんでいるのか。手相を覚えれば手を堂々と触れられるのかもしれないという名案が浮かびましたありがとうございます。(endou huma)
○「異様」のポップさが効いている。足に特化しているさまはまさに「フェティシズム」であり、直接的な表現を用いずに題を詠みこめている。(羅手)
○きっと何気ない会話のなかで、相手のフェチのツボに気づいてしまったのでしょう♪ その知識が本来の目的のために使われることを想像するとき、大いなる闇が二人を包み始めるのです♪(タケウマ)
○これは素晴らしい。今回の句郡の中で抜きん出ていると思います。穴二つがマジキチっぷり全開のフェチ句としたら、こちらはマニアックな硬質のうつくしさがあるフェチ句と言えましょう。そして句会中にも指摘がありましたが、この詠み人は多分にサディスティックであると思われます。イタタ! ここがイタいの? しっかり揉んだ方がいいよ……ここがイタいのは、胃が悪いんだよ……と、親切面して痛がる相手の様子をじっくり観察して楽しんでいるのでしょう。句の中でエロいことはひとつも言ってないのに、とてつもないエロスを感じさせます。実にお見事としか言いようがない。優れたフェチ句です。(小笠原玉虫)


32.なんにでも鼻を埋める犬なる(文月さな女)…4点

○犬になりたくなりました(endou huma)
○我が家の犬もそうですが、犬ってなんにでも臭いをかぎにいきますよね・・・不思議です。ある意味趣味が悪いというか、もしかすると生物の中で最も変態なのは犬なのかもしれません(笑)。(紫蝶)
○犬だと思えば何でもないこのフレーズ、人だと解釈した途端に、エロさやフェチの香りがパーン!と弾けます。どこに鼻を埋めているかの想像は千差万別、読み手の心理を上手く引き出すテクニシャンな句だと思います。(このはる紗耶)
○理性を忘れ本能の赴くままにと言う獣性のみならず、官能の下僕と成り果てていると言うニュアンスを「犬」の一字で上手くまとめている。(獺太郎)
△可愛い(^ω^*) これは白い小さい室内飼いの犬を想起。こたつの上掛けをおニューのに取り換えたりすると、何か気に入らないみたいでフンフンフンフンいつまでも嗅いでいたりしますよね。そんな景が目に浮かびました。犬句に弱いわたくしのド真ん中を打ち抜く佳句でございます。(小笠原玉虫)


38.耳の裏嗅ぎて頭突き返さるる(このはる紗耶)…4点

◎耳は性感帯なのに、頭突きくらっちゃしょうがないしょうもない、なんて。結構笑えた素敵な一句でした。(圓哉)
○隣で居眠りする無防備な首筋や耳裏を見て思わず吸い寄せられた所に、寝返りとかで偶然反撃を受けた。というような、「春の目覚め」の青い情景が浮かぶ。(獺太郎)
○欲望に忠実に行動するとしっぺ返しにあうという教訓が盛り込まれていると感じました。でも、痛い思いをしても、耳の裏の匂いを嗅がずにはいられないのです。ああ♪(タケウマ)
△いいですね。耳の裏の匂いフェチということでしょう。わたくし、人の耳の裏は知りませんが、いぬのは好きだったりします。何ともいえない平和な匂いがしますよね。で、こちらの句では、嗅ぎにいったら頭突きで攻撃されたと。句会中は、獺太郎さんとタケウマさんとで、この頭突きは意図的な攻撃なのか、それとも寝返りを打つなどされて偶然ぶつかったものかで解釈が分かれましたどちらの説も面白く、アリだなと思いました。なかなかのフェチっぷりと喜劇的な楽しさが同居した、非常に面白い句と思いました。(小笠原玉虫)


19.玉子酒寝巻の裾の乱れをり(タケウマ)…3点

○風邪の熱と酒の熱と脚の熱と、三種の熱が絡み合っていて艶っぽい。
玉子酒特有のまろやかな様子、汗を吸った寝巻のけだるさも、色気のあ る光景である。(羅手)
○若尾文子さんが茶の間にきて髪も少し乱れていて茶碗片手に「せっかくなのにごめんなさいねぇ」といいつつ炬燵に入る直前の白い足首がちらと・・・見えました。(圓哉)
○風邪の艶っぽさは別の季語でも話題に登りましたね。この方も風邪で寝苦しくおられるのでしょうか。お酒と熱でほんのり紅くなった足元、、席題のチラリズム句かな?そうならお題を「述べる」だけではなくきちんと句に仕上げられているところもお見事です。  (琳譜)
△玉子酒じゃなきゃ駄目だと思います。自分左党ですゆえ笑 それはさておいても、玉子酒の字面の柔らかさと、乱れ裾の方への親しい距離が上手く重なっていると感じました。裾が乱れる、とありますが自分は「しょーがないなぁ」と布団を敷いてあげたいです。そんな雰囲気に感じます。乱れた裾とのギャップなり、元来風邪などの薬や身体を温めるための玉子酒で酔ってしまった人への燃え上がる愛しさなりも捨て難いですが。でもちらりと見えるところが裾の中少しだけ、なのも良さかと。(風橋 平)
△大変いいですね。病人フェチでしょうか。熱が出て紅潮していたり、苦しそうにあえいでいる様子に興奮を覚えるとは、なかなかのサディストと思います。親切面して病床に玉子酒を運んであげる……と、見せかけて、病人の様子をじっくり観察して悦に入っているのでしょう。一刻も早く病室から追い出した方がいい。実に不謹慎かつ色っぽい御句です。(小笠原玉虫)


22.クローム仕上げのおまえに俺の間抜け面が(前田_獺太郎)…3点

○クローム仕上げ、車かな。それとも人型のなにかか。(北大路京介)
○会場ではロボットレディと仮定して盛り上がりましたが、偏愛の対象として「おまえ」と言いたくなるクローム仕上げされたものに(例えばクロームメッキされたバイクとか)、頬を寄せている姿でも十分面白いですよね。自分の陶酔した顔に引いちゃうという、神の視線が自らに宿る瞬間の哀しさが本当に切ないです♪(タケウマ)
○C-3POの女性版みたいなロボットレディとの恋かなと思います。これはなかなかのフェティシズムです。でも「愛してる……」と抱き寄せたら、相手のピカピカのボディに酔いまくった自分の顔が映ってたんですね。これは哀しい。一瞬で賢者モードです。けれどマット仕上げだと愛せないのですきっと。ピカピカボディフェチ!! 何とかこの哀しみを乗り越えて愛を貫いてくださいね!(小笠原玉虫)


02.初めてできた彼氏の部屋で見つけた熟女AV(紫蝶)…2点

○彼氏さん、熟女フェチですか。この後、路線矯正に燃えるのか、敗北感にうちひしがれるのか、はたまた学習と銘打って一緒にAV見ちゃうのか、修羅場に至るのか。想像をかきたてられます(笑)(このはる紗耶)
○これは、彼女の方が年上だったら相当ビミョウな気持ちになるなと思いました。そっか、そこが……好き、だったのか、みたいな。熟女好きは、わたくしからするとそれ程フェチでもないような気がします。それはわたくし自身が熟女の年齢だから、そう思いたいだけ、でしょうか。皆様はいかがお考えですか。△(小笠原玉虫)


14.雪中梅なめて眺める盃や(圓哉)…2点

◎素敵ですね。お酒の雫を舌でぬぐいきり盃を眺めているのでしょうか。この句が作品の中ですっと一本際立っていました。 (琳譜)
△雪見酒! しかもおつまみは梅のみという渋さ。最初これは梅干しと思ったんだけど、ホット梅酒の可能性もあるなと思いました。下五の切れ字は珍しいなと思ったんだけどそうでもないかな? 古風でよい句と思いました。(小笠原玉虫)


16.風が強いからスカート短めで会いに行く(木曜何某)…2点

○チラリズムを武器とする攻めの姿勢がいいですね♪ この子、きっとかわいい♪(タケウマ)
○いいですね。これは確信犯です。句会中にも指摘がありましたが、チラリズム句は「あ、見ちゃった」=受身が多かったのですが、これは見せる気まんまん、攻めの姿勢です。この小悪魔っぷりにやられました。リズムとまとまりもいい。お見事。(小笠原玉虫)


21.君の隣は蕎麦の薬味が倍になる(木曜何某)…2点

○蕎麦も君もおいしそうで一緒に食べたいです(endou huma)
○「君」は葱や茗荷が嫌いなんでしょうね(北大路京介)
△句会中「意味が???」と話題になりましたが、わたくしは分かりますよ。わたくし、お蕎麦の薬味が苦手で、ネギなどいつも同行者にあげてしまいます。そういう人とお蕎麦食べに行ってるんじゃないかと思うのです。非常に私的、かつささやかなエピソードで、これは余程近い人間同士じゃないと窺い知れないものです。この「当人同士だけが知ってる」感がとても好きだなと思いました。(小笠原玉虫)


35.おっぱい星人には永久不滅ポイントです(圓哉)…2点

◎おっぱいに対する賛辞でしょう。こういう表現の方法好きです。(北大路京介)
△これはおっぱい礼賛句ととりました。「永久不滅ポイント」って何なのかとちょっと思いましたが、もしあくまでおっぱいについて言及しているとすれば、老いようが垂れようが、巨乳は素晴らしい!! と言っているのかなと。素晴らしいおっぱい愛ですね! たまにはDカップ未満のおっぱいたちのことも思い出してあげて下さいね。(小笠原玉虫)


18.太い背骨に蟻が上るわ(endou huma)…2点

○「恍惚」が句の全部を占めてると思います。青江三奈さんよりどぎつく。
蟻はまた人間よりも進む幅が短いながら、確実に速く這ってゆく、その確実に迫る感覚が「背骨」という人間の急所にもなり得る所を上る怖さ。故に後の展開が実に怖いです。
上る「わ」、という口調にも、恍惚というか憧憬というか、危ない感情を感じました。太い背骨に対して、蟻の動きに対して、それが自分の指だったらと仮想して。その全てがアブナイです。
3・4・3・4という音節も、まるで女性のため息を差し挟んでいるようなリズムに思えました。重ねて言いますが、ゾクゾクします。(風橋 平)
○夕刊紙の官能小説のようなパルプフィクション的表現がいい。(獺太郎)
△好きです。ぞわぞわする感じが伝わってきます。これは気持ち悪いのと同時に妖しい快感を覚えているのではないかと。「蟻の門渡り」って言葉も、なんか想起しますよね。「太い背骨」に、あがるってのもいい。ゴッツい大男が小さな蟻の感触に悶絶しているとしたら、これ程小気味いい光景も滅多にあるものではありません。スパッとまとまってるしリズムもいいと思います。(小笠原玉虫)


30.襟巻のほどけて残る襟の陰(風橋 平)…2点

○首筋に対する崇拝の念が、襟の繰り返しに表れているように感じる。襟の陰が生える首は、白く美しい首なのだろう。襟の字の上品な色気が、「漢字ひらがな漢字」の構成をより耽美なものにしている。(羅手)
○着眼点も律も素敵な作品なのでとらせていただきました。ただ「陰」というイメージではないような気がして並選に。気になった場所は私の感覚では分からなかったというそこだけです。読む力不足お許しを。素敵な作品ありがとうございました。  (琳譜)
△いいですね。襟巻をとったらドキリとするくらい白い首があらわれる。その真白き首にくっきりと襟の影が落ちる。至近距離ならこその気付きと思います。大変色っぽい佳句です。(小笠原玉虫)


04.足袋よりもなほもましろのたくし裾(琳譜)…1点

○偶発的に出来た絶対領域とでもいうべき白足袋とたくし上げた裾の間に現れた白き脚。足袋の句は36番にもあるがこちらの脱ぎきっていない方がフェチ性は高い。(獺太郎)
△いいですね。足袋を履いた足の、足首が見えると妙に無防備でドキリとしますよね。着物&足袋だと足首は全く見えないわけで、そのせいか見てはいけないものを見てしまった感があると思います。サンダル履いてる足首にはそうは思いません。隠すことによってエロさが増す好例と思いました。句としてはいい意味でクラシカルな感じがしますね。古き良き、久女あたりが詠んでいそうです。(小笠原玉虫)


06.妖精の粉で私もちょっとだけよ(文月さな女)…1点

○チラリズムの王道を失念しておりました。妖精の粉(で変身する)という、ファンタジックながら、今回の句会ではエロスが溢れる展開なのですが。ドリフのおピンクなステージがそう深くファンタジーファンタジーさせない適度さがあると思います。というか相互的によりエロくなってます。変身する、といっても、言葉の間にスルスル肌着を脱ぎ落としていくような。ちょっとだけよ、の575からはみ出した字余りが、その後の展開へ続く息のようなリズムも持っていると感じました。個人的に、自分一人に対して……してくれてるような気がします。というかしてほしいです。(風橋 平)
△可愛い。素面ではちょっと出来ないけれど、妖精さんの魔法を借りれば大胆になれる。そんな乙女心という気がします。照れながらコケティッシュなポーズをとっている可愛い女性が目に浮かびます。(小笠原玉虫)


07.路上にてアナルプラグを刺して冬(小笠原玉虫)…1点

○選評を書くにあたり、あらためてアナルプラグを検索しちゃったですよ…、仕事場で…で、後ろの席の部長に見つかりそうになってね、あわててPCを閉じましたよ。この句の作者のせいですよね。きっとプレイなんだと思いますが、ご主人様に路上での装着を命じられたのでしょう。道行く人に気づかれないように自ら挿入するアナルプラグ。完全に刺さった瞬間に、拡張された充足感を味わいながら、もう引き返すことのできない性癖の道を歩んでいることにあらためて気付いたのです。その道は修羅の道。北風が吹きすさぶ道こそがあなたの歩む道なのです♪(タケウマ)
△句またがりがプラグを刺して踏ん張っているようで、活きている。(羅手)
△冬、じゃねぇよと我ながら思いました。自分では結構好きな句です。ダメ?w(小笠原玉虫)


08.財布から裾が見えてら夏目かい?(endou huma)…1点

○席題投句なのですけど、チラリ=スカート的な発想が多いなか、これは面白いなと思いました。千円札が見えているのかな。「見えてら」「かい?」の口語が妙に気持ちいい。面白い句です。(小笠原玉虫)


09.スカートふわり八重歯こぼれている(北大路京介)…1点

○句会の性格から見たらだいぶはずれている、実に真っ当な句。一服の清涼剤。新宿にも公園があることを思いだした。(獺太郎)
△いいですね、大変可愛いです。中学生同士のデートで、私服でおしゃれしてきた彼女が照れているイメージです。当季っぽくないけど春を先取りということでよろしいかと思います。(小笠原玉虫)


10.満員電車で汗だくのサラリーマンの乳首が透けている(紫蝶)…1点

○真夏の通勤電車ですね♪ 普通に考えればチラリズムの句だと思いますが、あえてフェチの句として読みました。その透けた乳首をうっとりと眺めているのもサラリーマンだったりと♪(タケウマ)
△これって密着しているの……。個人的にピンクだったら嫌だな。(羅手)
△大学卒業して最初にわたくしの入社した美術系出版社のですね、社長がですね、夏になると毎日乳首透けていて本当に困ったものですよ。そんなことをふと思い出しました。これはですね、詠み手が乳首にナニかを感じていればフェチ句、感じていなければ写生句となると思います。中々に深い句です。(小笠原玉虫)


12.吹雪ゆく新聞配達夫の虚ろ(このはる紗耶)…1点

○これも句会の性格とは異なるが、「仕事」の義務と責任を全うする人間のいる光景を切り取っている。先日亡くなった映画スターを連想せずにいられない。(獺太郎)
△いいですね。虚ろ、の体言止めが非常にわたくし好みです。吹雪という激しい季語、めっちゃいい冬の句で、当句会に投句してしまってよかったのか、心配になってしまっています。(小笠原玉虫)


13.口先を尖らせてキミは前髪を直す(前田_獺太郎)…1点

○「セーラー服と機関銃」の薬師丸ひろ子が一番に浮かんだのは歳のせい!(圓哉)
△これは自分で切って切りすぎちゃって、ぷんすかしている彼女なのでしょう。一生懸命引っ張って、ああそれでも眉毛にやっと届くくらい……彼女は自分自身に怒り心頭、でも彼は怒りごと可愛いと見ている。そんな景かなと思いました。愛でいっぱい♪(小笠原玉虫)


28.高速で裸コートを開いては閉じ(小笠原玉虫)…1点

○一読して腹を抱えました(笑)。高速は道路と開閉の速度と両方をかけているのではないかと私は見ました。高速道路で素早くコートを開閉し、裸を通行人にチラチラ見せる・ ・・明らかに逮捕ものの変態です!(紫蝶)
△外国の売春婦がちらっちらっと女性器を見せつける行為を「Flash」というそうですが、こちらはおっさんの変質者がそれをやってる的な気持ちで詠みました。それもものすごい高速で。匠の技です。それをわたくしは、申し上げたかった。(小笠原玉虫)


31.冬薔薇の密やかに咲く歌舞伎町(紫蝶)…1点

○季語の活かし方がツボに来ました。
イメージするに、夜の喧騒から遠ざかった真昼の歌舞伎町です。そこでは夜の蝶も疲れて、すれっからしの翅を休ませる。 ……そんな風景を目一杯感じ取りました。
花季を外れて咲く、それでも独特の魅魔を漂わせている冬薔薇の空気が実にピッタリでした。私感としては、ひそやかに、を変えるとまた違った風に化ける句と思います。派手さだけではない歌舞伎町の深さが「冬薔薇」に凝縮されていると感じました。どことなくありし日の浅川マキのような、そうでないような。(風橋 平)
△いいですね。この「冬薔薇」は女性をたとえてるんだと思いますけど、結構年増って気がする。かつて大輪の薔薇だった夜の美女、いまは年齢を重ねてひなびたお店にいるのかもしれないけれど、往年の妖気は保ったままなのでしょう。煙草臭い息すらも彼女の魅力とひとつになっている。こういう女性は大好きなわたくしです。(小笠原玉虫)


33.襖の隙間から不機嫌そうな尻尾(このはる紗耶)…1点

○間違いなく猫の尻尾ですね!何か面白くないことがあって拗ねているのでしょうか・・・それでも尻尾だけを襖の隙間から出して今の気分をアピールしている、その可愛さにやられました。(紫蝶)
△可愛いw 犬か猫かは分かりませんが、わたしは不機嫌なんだぞ……!! と表明しつつもかまって欲しがっている感じですね。さぁ可愛い尻尾をぎゅっと掴んで余計怒らせましょう。そのあとで襖をガラーッと開けて、ガバッと抱き上げましょう。すぐ仲直りです!!(小笠原玉虫)


36.白足袋の白より白き踵かな(タケウマ)…1点

○素足の踵なのか、足袋の踵なのか判断が定まりませんでした。せっかく白を並べたのに白にインパクトを持たせきれてないのが残念な気がします。でも文字で遊ばれたところと、それで起こる音韻が暑苦しくないところとても魅力的です。足袋の踵ならこの目線はたくさんの方が使われているので少し推敲してぜひお手元に残される特別な句の一つにして欲しい気持ちです。(琳譜)
△白を三回も繰り返しながら、最後の「白」が特別で艶かしく見える巧みさにやられました。踵、という漢字のチョイスも文字通り適度な重さがあって引き締まって読めました。個人的には京町家の夜を連想します。好きです。(風橋 平)
△いいですね。今回足袋の句は二句ありましたが、これは完全に脱ぎ捨ててしまい、手入れの行き届いた真っ白な踵を見せてもらったのでしょう。足袋を履いているという状況はかなりきちんとした格好をしているということで、そんな足袋を脱いだところも見たということで、この踵の持ち主と詠み人がいかに親密か窺い知れるというものです。非常に艶めかしい。そしてどこか、春の予感を孕んだ冷たい空気も感じることができます。面白い一句です。(小笠原玉虫)


03.雷鳴ローズ香る網タイツ(北大路京介)…無点

△いいですね。網タイツのお姉さまと雷鳴を聞きつつよろしいことをなさっている景でしょうか。網タイツなんてビッチなアイテムを履きこなしつつ、ローズみたいな清楚な香水を使用しているお姉さまに好感度大。雷と網タイツって似合うな。(小笠原玉虫)


15.月氷る溺るる肉を布で拭く(羅手)…無点

△いいですね。非常にエロティックです。月が氷るかのような冬の夜に、汗びっしょりになりながらいたしていたのでしょう。で、終わってから拭いてあげている。激しい性愛の表現の中に深い愛情がうかがえるのがいいなと思いました。お見事です。(小笠原玉虫)


20.肉球に萌えて悶える知命の春(文月さな女)…無点

△肉球萌え! は、比較的受け入れられるフェティシズムと思われます。わたくしは匂いを嗅ぐのも好きです。猫の手だとすると、にゅっと爪が出てくるかもしれず、緊 張感が伴います。それもたまらないのでしょう。五十路になっても自分を抑えることが出来ない。並々ならぬ衝動の告白、誠に有難うございます。共にこの道を極めましょう!!(小笠原玉虫)


25.冬薔薇ネクロフィリアの兆しあり(小笠原玉虫)…無点

△冬薔薇→死体っぽい→死体性愛?と妄想たくましくしてみたんですけど、ネクロフィリアがやりすぎだったと我ながら思います。(小笠原玉虫)


29.一枚に瘡蓋剥いて宵の春(琳譜…無点

△いいですね。かさぶたとか耳垢とか、ああいうものをとるのってどうしてこんなに楽しいのでしょうか。この何とも言えない快感、結構愛好者が多いらしく、2ちゃんねるにスレッドがあるくらいですよね。で、こちらの句ですが、〆の「宵の春」、この季節感と、かさぶたを剥いたあとに表れる、薄ピンク色の新しい皮膚とのうつりがいいなと思いました。素晴らしいフェチ句と思います。(小笠原玉虫)


34.らんちうに届かぬ舌と尾は二復(endou huma)…無点

△こちら、「二復」の意味がよく分からなかったのですが、景としては、ネコが蘭鋳を捕まえようとちょっかいを出している景なのかなと思いました。ん、でもそうしたら前足でバッシャバッシャやるところか。舌と尾も、そうなるとよく分からないな。詠み人の自解を伺ってみたいです。(小笠原玉虫)


37.今日もワルを気取れないで桂花ラーメン(前田_獺太郎)…無点

△何故か尾藤イサオの曲を思い出しました(どーでもいい)。でもそんな魅力や渋みが自分にないのが分かってる、そう取りました。桂花ラーメンというのは実在するお店なんでしょうか……下町の飲み屋街にありそうな、そしてそういう場所で一人ごちてる主人公の姿が目に浮かびます。気取れない、というのも本当はワルになってイワしたい本音がにじみ出ていると思うのですが。是非このラーメン屋に通いつめてみたいです!(風橋 平)
△いいですね。フッ……と、ニヒルにバーで煙草をくゆらせる。そのまま帰ってしまえばシヴいのに、あーおなかすいたと〆のラーメンを食べに行ってしまったのでしょう。こういう人、かなり好きです。ワルになりきれないやさしさが垣間見える気がします。(小笠原玉虫)




2015年1月24日土曜日

第八回新宿屑句会 投句全作品発表ぉ!(^〇^)



今回も多数様のご参加、誠に有難うございます!!

第八回新宿屑句会、全投句作品はこちらでございます(^ω^ )♪♪♪


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<選句・選評のお願い>

特選1句、並選3句の計4句を選び、選評と一緒に

shinjukuevilrabbits@gmail.com

までお送り下さいませ。
〆切は、1/31(土) 23:59 とさせて頂きます。

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※万が一「オレのが載ってない!」なんてことがございましたら、
 Twitterの @OGA0531 もしくは @rubbishrabit までリプ、もしくは
   shinjukuevilrabbits@gmail.com までご連絡下さいませ。
  大至急対応させて頂きます!!



01.淡雪あわ雪ちいさい乳輪がすき

02.初めてできた彼氏の部屋で見つけた熟女AV

03.雷鳴ローズ香る網タイツ

04.足袋よりもなほもましろのたくし裾

05.少年のパンツへ海鼠忍び寄る

06.妖精の粉で私もちょっとだけよ

07.路上にてアナルプラグを刺して冬

08.財布から裾が見えてら夏目かい?

09.スカートふわり八重歯こぼれている

10.満員電車で汗だくのサラリーマンの乳首が透けている

11.あの肌に似ている湯豆腐を喰らう

12.吹雪ゆく新聞配達夫の虚ろ

13.口先を尖らせてキミは前髪を直す

14.雪中梅なめて眺める盃や

15.月氷る溺るる肉を布で拭く

16.風が強いからスカート短めで会いに行く

17.あと二つ穴を掘る

18.太い背骨に蟻が上るわ

19.玉子酒寝巻の裾の乱れをり

20.肉球に萌えて悶える知命の春

21.君の隣は蕎麦の薬味が倍になる

22.クローム仕上げのおまえに俺の間抜け面が

23.もう二度と子を抱かぬ手で撫でる

24.華奢という冬の桜を抱きにゆく

25.冬薔薇ネクロフィリアの兆しあり

26.階段を見上げればアンクレットがだなぁ

27.足のツボだけ異様に詳しい

28.高速で裸コートを開いては閉じ

29.一枚に瘡蓋剥いて宵の春

30.襟巻のほどけて残る襟の陰

31.冬薔薇の密やかに咲く歌舞伎町

32.なんにでも鼻を埋める犬なる

33.襖の隙間から不機嫌そうな尻尾

34.らんちうに届かぬ舌と尾は二復

35.おっぱい星人には永久不滅ポイントです

36.白足袋の白より白き踵かな

37.今日もワルを気取れないで桂花ラーメン

38.耳の裏嗅ぎて頭突き返さるる



2015年1月13日火曜日

第八回新宿屑句会、やるよ~(^〇^)♪



大変ご無沙汰しております、新宿屑句会でございます……!!

第七回新宿屑句会におきましては、たくさんの方にご参加頂き

誠に有難うございました。

ご参加の皆様、いつも誠に有難うございます。



さてさて、お久しぶりではございますが、

いきなり新年会を開催致します!!

2015年、のっけから「新宿に屑が戻りて☆大新年会!」

と銘打ちまして、

「久しぶりに戻ってきたと思ったらソレ!?」

と、呆れ返ってしまわれそうなお題をご用意させていただきました。

お楽しみいただければと存じます。



と、いう訳で、今回の句会情報でございます。


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第七回新宿屑句会


日時:

2015年01月24日(土) 14:00~



<投句のご案内>

形式:

定型・自由律どちらでも可
題詠1句・自由詠1句の計2句をお送り下さいませ(必須)

お題→→→「フェティシズム」

ハイッ!! フェティシズムでございます!!
愛は自由……そう、オレたちはいつだって自由……
と、いうわけで、新年早々性癖曝け出してGOGOGO!!


「フェティシズム」という言葉を、句に盛り込んでもOK!
盛り込まずとも、フェチ的雰囲気でいっぱいの句も、大歓迎!!
特殊性癖におなかいっぱい句をお寄せ下さい!

例句:

美しきフェティシズムかな嗜虐趣味
冬座敷姉のバラ鞭響きける
尻の裏に廻る
この腹、果てしなく締め上げる亀甲縛り



なお、2015年01月23日(金)19:00過ぎより「席題」もされます。
お時間に余裕のある方は、是非こちらにもご参加下さいませ(^〇^)


投句補足説明

事前投句=題詠&自由詠の2句。イケそうなら席題も。
 つまりMAXで3句投句可能。

・事前投句2句のみ可、席題のみ1句投句も可。お好きな方で。

選句・選評必須。2回以上選句・選評をサボったかたは
 今後投句をお断りする可能性があります。


※席題について※
新宿屑句会における「席題」は、句会前々日発表&前日〆切と、
本来の「席題」とはちがったかたちをとらせて頂いております。
会場に来られないかたにも広くご参加頂くためにネットで投句募集し、
また居酒屋さんの片隅という時間の限られた場所で編集させて頂いている所以であります。
何卒ご容赦下さいませ。


投句先メールアドレス:

新宿屑句会 shinjukuevilrabbits@gmail.com


投句〆切:

事前投句、席題投句ともに
2014年01月23日(金) 23:59まで


<句会当日のTwitter実況に関して>

新宿屑句会実況係のアカウント @rubbishrabbit にて行います。

ご覧になりたい方は、こちらをフォローして下さいませ。


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味わい深い御句、お待ち申し上げております!!



新宿屑句会 小笠原玉虫拝