2015年2月8日日曜日

第八回新宿屑句会 結果発表ぉ!(^〇^)

大変お待たせいたしました、

第八回新宿屑句会、結果発表をさせていただきます…!!






八代目屑王は…





タケウマさんです!

おめでとうございます!!(^〇^)♪♪♪


海鼠大人気 で、圧倒的勝利でした。

本当におめでとうございます!!!(^〇^)♪♪♪





さて、以下が投句全作品の点数と選評でございます。


どうぞ皆様、お楽しみくださいませ…!!!


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05.少年のパンツへ海鼠忍び寄る(タケウマ)…8点

◎語句やシチュエーションの選択に脱帽です。海鼠ってそんなに動き回るイメージがなく、ねっとり這う感があるのですが、それがここでは活きてると思います。不気味な生物にジワジワ嬲られようとしている。実際にもし起こり得たら剥ぎ取って馬鹿話笑い種になりそうな所を、思わず不気味な展開を考えさせる凄みがありました。海鼠、という、「少年」の活発さからは遠い冬の季語の所為でしょうか。ところで「忍び寄る」という、意図して息を殺して近付く能動的な動詞はわざとと思いたいです。そそられますし。(風橋 平)
◎なんとも言えない味わい(?)ですね。海鼠ってとこがまた…。絶妙です!(文月さな女)
◎生々しさで特選に。海鼠は本当に海鼠なのだろうか、メタファーなのだろうか。背景の描写を省くことで、登場する物の動きがより強調されている。少年の青くハリのある肌とべちゃべちゃした海鼠は、対比的であるようにも、根底で通じているようでもある。(羅手)
○戯画的で実際にはあり得ない情景だがおもしろい。映画「スタンド・バイ・ミー」の沼でヒルに襲われるシーンを彷彿とさせる。(獺太郎)
○地元の人しか入らない、ひと気のない海辺を想起。めまいを覚えるような真夏の日差しのなか、ふと気付くと海鼠が忍び寄ってきている。うわ!と鳥肌を立てながらも、怖気ばかりでない何かを感じる。あやうい白昼夢のような瞬間を見事に切り取りました。(小笠原玉虫)


17.あと二つ穴を掘る(琳譜)…5点

◎初見一発で特選。これはねヤバいですよ。何という大胆さでしょう。もうひとつ掘ってみるなら分かる。んが、あとふたつ……??? どこ??? 未熟者のわたくしには全く見えてこないのですが、詠み人の欲望に燃えた目にはもう一箇所掘ってやりたい場所が見えるようです。こちらの句は自由詠での投句でしたが、並々ならぬフェチ魂を、わたくし、見出しました。わたくしは恐ろしい。詠み人のセクシャルに洗練された、されすぎた視線が恐ろしい。そして、恐ろしいのにどうしようもなく惹きつけられる。かように何もかも曝け出した詠みっぷりを、わたくしもしてみたいものです。(小笠原玉虫)
○読者に想像を広げさせてくれますね(笑)わずか8文字なのに上手いなぁって思いました。(文月さな女)
○「人を呪わば穴二つ」ということわざを連想しました。墓穴だとしたら、あと2人殺すというような意味になるのでしょうか。(北大路京介)
○すでに穴を一つは掘っているわけですよね。でも、それだけでは満足できない。作者の欲望を充足させるためには、さらに二つの穴が必要なわけです。どこに掘るのか、どんな穴なのか、何も明示されていませんが、具体的でないからこそ、作者の煩悩がとてつもなく大きいことが分かります。きっと、さらなる二つの穴を掘っても作者は満足することはないでしょう。「あと二つ、あと二つ」と呪文のように唱えながら、穴を掘り続ける。あとに残されるのは、無数の巨大な穴という空虚です。怖い句です♪(タケウマ)


01.淡雪あわ雪ちいさい乳輪がすき(羅手)…4点

◎ちいさな乳輪はいいですよね~♪ いや、大きな乳輪がダメということではないのですが、ちいさな乳輪が好きという呟きが、すぐ溶けてしまう淡雪にとても合っているといると思います。「淡雪あわ雪」と繰り返しながら2つ目をひらがな表記にしたのも、舞い降りながら水に戻っていく淡雪のはかなさをあらわしているのでしょう。ああ、ちいさい乳輪はもののあはれなのですね♪(タケウマ)
○やはりというかどうしても選んでしまうおっぱい星人です。(圓哉)
○いいですね。わたくしの眼前には日本画のような光景が広がりました。真綿のようにやわらかい雪が落ちてくる中、凛とした表情でうら若き乙女が全裸で立っているイメージ。小ぶりながらも熱い乳房に触れた瞬間、雪は解けて消滅することでしょう。雪と小さな乳首の取り合わせが清楚な美しさを醸し出しています。あわゆきあわゆきの繰り返しのリズムも美しいし、好き、とつぶやくように終わるところも大好き。エロスを感じさせながらも上品で、実に美しい佳句です。(小笠原玉虫)


11.あの肌に似ている湯豆腐を喰らう(風橋 平)…4点

◎とても艶やか。さらりと詠まれているのに、しっかりとエロい。肌の熱、柔らかさ、弾力、瑞々しさ。「喰らう」という言葉の選び方にうっすらSな属性も垣間見えて、お見事です。(このはる紗耶)
○古典的な展開だがそれがむしろ奏功している印象。湯豆腐の温感や質感が女性の肉体への連想につながる。(獺太郎)
○いいですね。湯豆腐って食べ物としてはとても淡白な方だと思うんですが、そんなさっぱり系をいただきながら熱い肌を思っちゃうという、取り合わせが面白いなと思いました。寒い季節ですからお食事でもお布団でもあったまりたいものですね。(小笠原玉虫)


23.もう二度と子を抱かぬ手で撫でる(北大路京介)…4点

◎子を二度と抱けない手。死の床にある皺だらけの手で子供の顔を撫でるのか、それとも子供の墓石をそっと撫でるのか。この陰のある重厚な雰囲気に惹かれました(獺太郎)
○家庭との決別の感じがしてエロティックな感じがしました(endou huma)
○これは泣ける。句会中はいくつかの説が出ましたが、わたくしはお爺ちゃんが病床で、しわしわの手を伸ばして孫の頬をゆっくりと撫でるイメージで読みました。胸に迫る悲しみ、そして韻律もとてもうつくしい。非常に優れた句と思います。自由詠での投句ですが、ほんと素晴らしい作品で、当句会みたいなふざけたところに出しちゃってよかったのかととても心配しております。(小笠原玉虫)


24.華奢という冬の桜を抱きにゆく(風橋 平)…4点

◎冬の桜は春の桜よりさらに儚げな感じがします。そんな冬の桜のような女性、もしかしたら幻かもしれない。そんな危うさを感じつつも抱きに行かずにはいられないのでしょう。とにかく情景が美しい!特選です。(紫蝶)
○美しい印象と危険な感じが入り混じって絶妙だと思いました。屑句会なので余計な妄想を呼びますね。(文月さな女)
○冬の桜を華奢と見立てたセンスに脱帽です♪ 透徹な欲望というものもあるのですね♪(タケウマ)
△冬の桜に華奢を見出す感性がすごいと思う。確かに、春より冬の方が浮世離れして、白いイメージがある。(羅手)
△「華奢」という名前の品種が、桜か、何かの花にあるのかなと思って調べてしまいましたが、見つけることが出来ませんでした。なので、これは華奢な女性にこっそり会いに行く景を詠んだのかなと解釈いたしました。「冬の桜」って言われるくらいですから、しっとりしていてそれでいて華やかで、でも何かちょっとおぼつかない、たよりなげな風情のある女性なのでしょう。しかも道ならぬ恋という気がする。と、妄想たくましく解釈してみましたが、正直なところ句意がよく分かりませんでした。皆さんはどうお考えですか?(小笠原玉虫)


26.階段を見上げればアンクレットがだなぁ(圓哉)…4点

○「がだなぁ」が素晴らしいですね。おじさんの決して口には出せない心の中でだけの呟き…。年齢からキャラクターまで全てを読者に理解させてしまいます。(文月さな女)
○語尾の余韻がニヤけた声音をリアルに想起させて、思わず笑ってしまいました。足首や脚線ではなくて、アンクレットというのが良いです。目の付け所がマニアック。そこから更に妄想が広がります。(このはる紗耶)
○口語も口語の「がだなぁ」の表現が効いている。おのれの想定が的中した男性と見られる側の女性のどちらもチープな感じが、猥雑な街をうまく切り取った。(獺太郎)
○いいですね。これはもう「がだなぁ」の勝利ですね。非常階段みたいなとこで、顔の横をふっと女性が通っていったので、あわてて見上げたのでしょう。期待したようにパンツは見えなかった。けれど華奢なアンクレットが巻きついた美しい足首が視界を掠めていった、と。くぅ~~~このアンクレットがだなぁ! ちょうよかったんだよ、ちょう!!ということでしょう。よかったですねぇとこちらまでじんわりとしあわせを覚えます。よろしゅうございましたなぁ。(小笠原玉虫)


27.足のツボだけ異様に詳しい(木曜何某)…4点

○何をたくらんでいるのか。手相を覚えれば手を堂々と触れられるのかもしれないという名案が浮かびましたありがとうございます。(endou huma)
○「異様」のポップさが効いている。足に特化しているさまはまさに「フェティシズム」であり、直接的な表現を用いずに題を詠みこめている。(羅手)
○きっと何気ない会話のなかで、相手のフェチのツボに気づいてしまったのでしょう♪ その知識が本来の目的のために使われることを想像するとき、大いなる闇が二人を包み始めるのです♪(タケウマ)
○これは素晴らしい。今回の句郡の中で抜きん出ていると思います。穴二つがマジキチっぷり全開のフェチ句としたら、こちらはマニアックな硬質のうつくしさがあるフェチ句と言えましょう。そして句会中にも指摘がありましたが、この詠み人は多分にサディスティックであると思われます。イタタ! ここがイタいの? しっかり揉んだ方がいいよ……ここがイタいのは、胃が悪いんだよ……と、親切面して痛がる相手の様子をじっくり観察して楽しんでいるのでしょう。句の中でエロいことはひとつも言ってないのに、とてつもないエロスを感じさせます。実にお見事としか言いようがない。優れたフェチ句です。(小笠原玉虫)


32.なんにでも鼻を埋める犬なる(文月さな女)…4点

○犬になりたくなりました(endou huma)
○我が家の犬もそうですが、犬ってなんにでも臭いをかぎにいきますよね・・・不思議です。ある意味趣味が悪いというか、もしかすると生物の中で最も変態なのは犬なのかもしれません(笑)。(紫蝶)
○犬だと思えば何でもないこのフレーズ、人だと解釈した途端に、エロさやフェチの香りがパーン!と弾けます。どこに鼻を埋めているかの想像は千差万別、読み手の心理を上手く引き出すテクニシャンな句だと思います。(このはる紗耶)
○理性を忘れ本能の赴くままにと言う獣性のみならず、官能の下僕と成り果てていると言うニュアンスを「犬」の一字で上手くまとめている。(獺太郎)
△可愛い(^ω^*) これは白い小さい室内飼いの犬を想起。こたつの上掛けをおニューのに取り換えたりすると、何か気に入らないみたいでフンフンフンフンいつまでも嗅いでいたりしますよね。そんな景が目に浮かびました。犬句に弱いわたくしのド真ん中を打ち抜く佳句でございます。(小笠原玉虫)


38.耳の裏嗅ぎて頭突き返さるる(このはる紗耶)…4点

◎耳は性感帯なのに、頭突きくらっちゃしょうがないしょうもない、なんて。結構笑えた素敵な一句でした。(圓哉)
○隣で居眠りする無防備な首筋や耳裏を見て思わず吸い寄せられた所に、寝返りとかで偶然反撃を受けた。というような、「春の目覚め」の青い情景が浮かぶ。(獺太郎)
○欲望に忠実に行動するとしっぺ返しにあうという教訓が盛り込まれていると感じました。でも、痛い思いをしても、耳の裏の匂いを嗅がずにはいられないのです。ああ♪(タケウマ)
△いいですね。耳の裏の匂いフェチということでしょう。わたくし、人の耳の裏は知りませんが、いぬのは好きだったりします。何ともいえない平和な匂いがしますよね。で、こちらの句では、嗅ぎにいったら頭突きで攻撃されたと。句会中は、獺太郎さんとタケウマさんとで、この頭突きは意図的な攻撃なのか、それとも寝返りを打つなどされて偶然ぶつかったものかで解釈が分かれましたどちらの説も面白く、アリだなと思いました。なかなかのフェチっぷりと喜劇的な楽しさが同居した、非常に面白い句と思いました。(小笠原玉虫)


19.玉子酒寝巻の裾の乱れをり(タケウマ)…3点

○風邪の熱と酒の熱と脚の熱と、三種の熱が絡み合っていて艶っぽい。
玉子酒特有のまろやかな様子、汗を吸った寝巻のけだるさも、色気のあ る光景である。(羅手)
○若尾文子さんが茶の間にきて髪も少し乱れていて茶碗片手に「せっかくなのにごめんなさいねぇ」といいつつ炬燵に入る直前の白い足首がちらと・・・見えました。(圓哉)
○風邪の艶っぽさは別の季語でも話題に登りましたね。この方も風邪で寝苦しくおられるのでしょうか。お酒と熱でほんのり紅くなった足元、、席題のチラリズム句かな?そうならお題を「述べる」だけではなくきちんと句に仕上げられているところもお見事です。  (琳譜)
△玉子酒じゃなきゃ駄目だと思います。自分左党ですゆえ笑 それはさておいても、玉子酒の字面の柔らかさと、乱れ裾の方への親しい距離が上手く重なっていると感じました。裾が乱れる、とありますが自分は「しょーがないなぁ」と布団を敷いてあげたいです。そんな雰囲気に感じます。乱れた裾とのギャップなり、元来風邪などの薬や身体を温めるための玉子酒で酔ってしまった人への燃え上がる愛しさなりも捨て難いですが。でもちらりと見えるところが裾の中少しだけ、なのも良さかと。(風橋 平)
△大変いいですね。病人フェチでしょうか。熱が出て紅潮していたり、苦しそうにあえいでいる様子に興奮を覚えるとは、なかなかのサディストと思います。親切面して病床に玉子酒を運んであげる……と、見せかけて、病人の様子をじっくり観察して悦に入っているのでしょう。一刻も早く病室から追い出した方がいい。実に不謹慎かつ色っぽい御句です。(小笠原玉虫)


22.クローム仕上げのおまえに俺の間抜け面が(前田_獺太郎)…3点

○クローム仕上げ、車かな。それとも人型のなにかか。(北大路京介)
○会場ではロボットレディと仮定して盛り上がりましたが、偏愛の対象として「おまえ」と言いたくなるクローム仕上げされたものに(例えばクロームメッキされたバイクとか)、頬を寄せている姿でも十分面白いですよね。自分の陶酔した顔に引いちゃうという、神の視線が自らに宿る瞬間の哀しさが本当に切ないです♪(タケウマ)
○C-3POの女性版みたいなロボットレディとの恋かなと思います。これはなかなかのフェティシズムです。でも「愛してる……」と抱き寄せたら、相手のピカピカのボディに酔いまくった自分の顔が映ってたんですね。これは哀しい。一瞬で賢者モードです。けれどマット仕上げだと愛せないのですきっと。ピカピカボディフェチ!! 何とかこの哀しみを乗り越えて愛を貫いてくださいね!(小笠原玉虫)


02.初めてできた彼氏の部屋で見つけた熟女AV(紫蝶)…2点

○彼氏さん、熟女フェチですか。この後、路線矯正に燃えるのか、敗北感にうちひしがれるのか、はたまた学習と銘打って一緒にAV見ちゃうのか、修羅場に至るのか。想像をかきたてられます(笑)(このはる紗耶)
○これは、彼女の方が年上だったら相当ビミョウな気持ちになるなと思いました。そっか、そこが……好き、だったのか、みたいな。熟女好きは、わたくしからするとそれ程フェチでもないような気がします。それはわたくし自身が熟女の年齢だから、そう思いたいだけ、でしょうか。皆様はいかがお考えですか。△(小笠原玉虫)


14.雪中梅なめて眺める盃や(圓哉)…2点

◎素敵ですね。お酒の雫を舌でぬぐいきり盃を眺めているのでしょうか。この句が作品の中ですっと一本際立っていました。 (琳譜)
△雪見酒! しかもおつまみは梅のみという渋さ。最初これは梅干しと思ったんだけど、ホット梅酒の可能性もあるなと思いました。下五の切れ字は珍しいなと思ったんだけどそうでもないかな? 古風でよい句と思いました。(小笠原玉虫)


16.風が強いからスカート短めで会いに行く(木曜何某)…2点

○チラリズムを武器とする攻めの姿勢がいいですね♪ この子、きっとかわいい♪(タケウマ)
○いいですね。これは確信犯です。句会中にも指摘がありましたが、チラリズム句は「あ、見ちゃった」=受身が多かったのですが、これは見せる気まんまん、攻めの姿勢です。この小悪魔っぷりにやられました。リズムとまとまりもいい。お見事。(小笠原玉虫)


21.君の隣は蕎麦の薬味が倍になる(木曜何某)…2点

○蕎麦も君もおいしそうで一緒に食べたいです(endou huma)
○「君」は葱や茗荷が嫌いなんでしょうね(北大路京介)
△句会中「意味が???」と話題になりましたが、わたくしは分かりますよ。わたくし、お蕎麦の薬味が苦手で、ネギなどいつも同行者にあげてしまいます。そういう人とお蕎麦食べに行ってるんじゃないかと思うのです。非常に私的、かつささやかなエピソードで、これは余程近い人間同士じゃないと窺い知れないものです。この「当人同士だけが知ってる」感がとても好きだなと思いました。(小笠原玉虫)


35.おっぱい星人には永久不滅ポイントです(圓哉)…2点

◎おっぱいに対する賛辞でしょう。こういう表現の方法好きです。(北大路京介)
△これはおっぱい礼賛句ととりました。「永久不滅ポイント」って何なのかとちょっと思いましたが、もしあくまでおっぱいについて言及しているとすれば、老いようが垂れようが、巨乳は素晴らしい!! と言っているのかなと。素晴らしいおっぱい愛ですね! たまにはDカップ未満のおっぱいたちのことも思い出してあげて下さいね。(小笠原玉虫)


18.太い背骨に蟻が上るわ(endou huma)…2点

○「恍惚」が句の全部を占めてると思います。青江三奈さんよりどぎつく。
蟻はまた人間よりも進む幅が短いながら、確実に速く這ってゆく、その確実に迫る感覚が「背骨」という人間の急所にもなり得る所を上る怖さ。故に後の展開が実に怖いです。
上る「わ」、という口調にも、恍惚というか憧憬というか、危ない感情を感じました。太い背骨に対して、蟻の動きに対して、それが自分の指だったらと仮想して。その全てがアブナイです。
3・4・3・4という音節も、まるで女性のため息を差し挟んでいるようなリズムに思えました。重ねて言いますが、ゾクゾクします。(風橋 平)
○夕刊紙の官能小説のようなパルプフィクション的表現がいい。(獺太郎)
△好きです。ぞわぞわする感じが伝わってきます。これは気持ち悪いのと同時に妖しい快感を覚えているのではないかと。「蟻の門渡り」って言葉も、なんか想起しますよね。「太い背骨」に、あがるってのもいい。ゴッツい大男が小さな蟻の感触に悶絶しているとしたら、これ程小気味いい光景も滅多にあるものではありません。スパッとまとまってるしリズムもいいと思います。(小笠原玉虫)


30.襟巻のほどけて残る襟の陰(風橋 平)…2点

○首筋に対する崇拝の念が、襟の繰り返しに表れているように感じる。襟の陰が生える首は、白く美しい首なのだろう。襟の字の上品な色気が、「漢字ひらがな漢字」の構成をより耽美なものにしている。(羅手)
○着眼点も律も素敵な作品なのでとらせていただきました。ただ「陰」というイメージではないような気がして並選に。気になった場所は私の感覚では分からなかったというそこだけです。読む力不足お許しを。素敵な作品ありがとうございました。  (琳譜)
△いいですね。襟巻をとったらドキリとするくらい白い首があらわれる。その真白き首にくっきりと襟の影が落ちる。至近距離ならこその気付きと思います。大変色っぽい佳句です。(小笠原玉虫)


04.足袋よりもなほもましろのたくし裾(琳譜)…1点

○偶発的に出来た絶対領域とでもいうべき白足袋とたくし上げた裾の間に現れた白き脚。足袋の句は36番にもあるがこちらの脱ぎきっていない方がフェチ性は高い。(獺太郎)
△いいですね。足袋を履いた足の、足首が見えると妙に無防備でドキリとしますよね。着物&足袋だと足首は全く見えないわけで、そのせいか見てはいけないものを見てしまった感があると思います。サンダル履いてる足首にはそうは思いません。隠すことによってエロさが増す好例と思いました。句としてはいい意味でクラシカルな感じがしますね。古き良き、久女あたりが詠んでいそうです。(小笠原玉虫)


06.妖精の粉で私もちょっとだけよ(文月さな女)…1点

○チラリズムの王道を失念しておりました。妖精の粉(で変身する)という、ファンタジックながら、今回の句会ではエロスが溢れる展開なのですが。ドリフのおピンクなステージがそう深くファンタジーファンタジーさせない適度さがあると思います。というか相互的によりエロくなってます。変身する、といっても、言葉の間にスルスル肌着を脱ぎ落としていくような。ちょっとだけよ、の575からはみ出した字余りが、その後の展開へ続く息のようなリズムも持っていると感じました。個人的に、自分一人に対して……してくれてるような気がします。というかしてほしいです。(風橋 平)
△可愛い。素面ではちょっと出来ないけれど、妖精さんの魔法を借りれば大胆になれる。そんな乙女心という気がします。照れながらコケティッシュなポーズをとっている可愛い女性が目に浮かびます。(小笠原玉虫)


07.路上にてアナルプラグを刺して冬(小笠原玉虫)…1点

○選評を書くにあたり、あらためてアナルプラグを検索しちゃったですよ…、仕事場で…で、後ろの席の部長に見つかりそうになってね、あわててPCを閉じましたよ。この句の作者のせいですよね。きっとプレイなんだと思いますが、ご主人様に路上での装着を命じられたのでしょう。道行く人に気づかれないように自ら挿入するアナルプラグ。完全に刺さった瞬間に、拡張された充足感を味わいながら、もう引き返すことのできない性癖の道を歩んでいることにあらためて気付いたのです。その道は修羅の道。北風が吹きすさぶ道こそがあなたの歩む道なのです♪(タケウマ)
△句またがりがプラグを刺して踏ん張っているようで、活きている。(羅手)
△冬、じゃねぇよと我ながら思いました。自分では結構好きな句です。ダメ?w(小笠原玉虫)


08.財布から裾が見えてら夏目かい?(endou huma)…1点

○席題投句なのですけど、チラリ=スカート的な発想が多いなか、これは面白いなと思いました。千円札が見えているのかな。「見えてら」「かい?」の口語が妙に気持ちいい。面白い句です。(小笠原玉虫)


09.スカートふわり八重歯こぼれている(北大路京介)…1点

○句会の性格から見たらだいぶはずれている、実に真っ当な句。一服の清涼剤。新宿にも公園があることを思いだした。(獺太郎)
△いいですね、大変可愛いです。中学生同士のデートで、私服でおしゃれしてきた彼女が照れているイメージです。当季っぽくないけど春を先取りということでよろしいかと思います。(小笠原玉虫)


10.満員電車で汗だくのサラリーマンの乳首が透けている(紫蝶)…1点

○真夏の通勤電車ですね♪ 普通に考えればチラリズムの句だと思いますが、あえてフェチの句として読みました。その透けた乳首をうっとりと眺めているのもサラリーマンだったりと♪(タケウマ)
△これって密着しているの……。個人的にピンクだったら嫌だな。(羅手)
△大学卒業して最初にわたくしの入社した美術系出版社のですね、社長がですね、夏になると毎日乳首透けていて本当に困ったものですよ。そんなことをふと思い出しました。これはですね、詠み手が乳首にナニかを感じていればフェチ句、感じていなければ写生句となると思います。中々に深い句です。(小笠原玉虫)


12.吹雪ゆく新聞配達夫の虚ろ(このはる紗耶)…1点

○これも句会の性格とは異なるが、「仕事」の義務と責任を全うする人間のいる光景を切り取っている。先日亡くなった映画スターを連想せずにいられない。(獺太郎)
△いいですね。虚ろ、の体言止めが非常にわたくし好みです。吹雪という激しい季語、めっちゃいい冬の句で、当句会に投句してしまってよかったのか、心配になってしまっています。(小笠原玉虫)


13.口先を尖らせてキミは前髪を直す(前田_獺太郎)…1点

○「セーラー服と機関銃」の薬師丸ひろ子が一番に浮かんだのは歳のせい!(圓哉)
△これは自分で切って切りすぎちゃって、ぷんすかしている彼女なのでしょう。一生懸命引っ張って、ああそれでも眉毛にやっと届くくらい……彼女は自分自身に怒り心頭、でも彼は怒りごと可愛いと見ている。そんな景かなと思いました。愛でいっぱい♪(小笠原玉虫)


28.高速で裸コートを開いては閉じ(小笠原玉虫)…1点

○一読して腹を抱えました(笑)。高速は道路と開閉の速度と両方をかけているのではないかと私は見ました。高速道路で素早くコートを開閉し、裸を通行人にチラチラ見せる・ ・・明らかに逮捕ものの変態です!(紫蝶)
△外国の売春婦がちらっちらっと女性器を見せつける行為を「Flash」というそうですが、こちらはおっさんの変質者がそれをやってる的な気持ちで詠みました。それもものすごい高速で。匠の技です。それをわたくしは、申し上げたかった。(小笠原玉虫)


31.冬薔薇の密やかに咲く歌舞伎町(紫蝶)…1点

○季語の活かし方がツボに来ました。
イメージするに、夜の喧騒から遠ざかった真昼の歌舞伎町です。そこでは夜の蝶も疲れて、すれっからしの翅を休ませる。 ……そんな風景を目一杯感じ取りました。
花季を外れて咲く、それでも独特の魅魔を漂わせている冬薔薇の空気が実にピッタリでした。私感としては、ひそやかに、を変えるとまた違った風に化ける句と思います。派手さだけではない歌舞伎町の深さが「冬薔薇」に凝縮されていると感じました。どことなくありし日の浅川マキのような、そうでないような。(風橋 平)
△いいですね。この「冬薔薇」は女性をたとえてるんだと思いますけど、結構年増って気がする。かつて大輪の薔薇だった夜の美女、いまは年齢を重ねてひなびたお店にいるのかもしれないけれど、往年の妖気は保ったままなのでしょう。煙草臭い息すらも彼女の魅力とひとつになっている。こういう女性は大好きなわたくしです。(小笠原玉虫)


33.襖の隙間から不機嫌そうな尻尾(このはる紗耶)…1点

○間違いなく猫の尻尾ですね!何か面白くないことがあって拗ねているのでしょうか・・・それでも尻尾だけを襖の隙間から出して今の気分をアピールしている、その可愛さにやられました。(紫蝶)
△可愛いw 犬か猫かは分かりませんが、わたしは不機嫌なんだぞ……!! と表明しつつもかまって欲しがっている感じですね。さぁ可愛い尻尾をぎゅっと掴んで余計怒らせましょう。そのあとで襖をガラーッと開けて、ガバッと抱き上げましょう。すぐ仲直りです!!(小笠原玉虫)


36.白足袋の白より白き踵かな(タケウマ)…1点

○素足の踵なのか、足袋の踵なのか判断が定まりませんでした。せっかく白を並べたのに白にインパクトを持たせきれてないのが残念な気がします。でも文字で遊ばれたところと、それで起こる音韻が暑苦しくないところとても魅力的です。足袋の踵ならこの目線はたくさんの方が使われているので少し推敲してぜひお手元に残される特別な句の一つにして欲しい気持ちです。(琳譜)
△白を三回も繰り返しながら、最後の「白」が特別で艶かしく見える巧みさにやられました。踵、という漢字のチョイスも文字通り適度な重さがあって引き締まって読めました。個人的には京町家の夜を連想します。好きです。(風橋 平)
△いいですね。今回足袋の句は二句ありましたが、これは完全に脱ぎ捨ててしまい、手入れの行き届いた真っ白な踵を見せてもらったのでしょう。足袋を履いているという状況はかなりきちんとした格好をしているということで、そんな足袋を脱いだところも見たということで、この踵の持ち主と詠み人がいかに親密か窺い知れるというものです。非常に艶めかしい。そしてどこか、春の予感を孕んだ冷たい空気も感じることができます。面白い一句です。(小笠原玉虫)


03.雷鳴ローズ香る網タイツ(北大路京介)…無点

△いいですね。網タイツのお姉さまと雷鳴を聞きつつよろしいことをなさっている景でしょうか。網タイツなんてビッチなアイテムを履きこなしつつ、ローズみたいな清楚な香水を使用しているお姉さまに好感度大。雷と網タイツって似合うな。(小笠原玉虫)


15.月氷る溺るる肉を布で拭く(羅手)…無点

△いいですね。非常にエロティックです。月が氷るかのような冬の夜に、汗びっしょりになりながらいたしていたのでしょう。で、終わってから拭いてあげている。激しい性愛の表現の中に深い愛情がうかがえるのがいいなと思いました。お見事です。(小笠原玉虫)


20.肉球に萌えて悶える知命の春(文月さな女)…無点

△肉球萌え! は、比較的受け入れられるフェティシズムと思われます。わたくしは匂いを嗅ぐのも好きです。猫の手だとすると、にゅっと爪が出てくるかもしれず、緊 張感が伴います。それもたまらないのでしょう。五十路になっても自分を抑えることが出来ない。並々ならぬ衝動の告白、誠に有難うございます。共にこの道を極めましょう!!(小笠原玉虫)


25.冬薔薇ネクロフィリアの兆しあり(小笠原玉虫)…無点

△冬薔薇→死体っぽい→死体性愛?と妄想たくましくしてみたんですけど、ネクロフィリアがやりすぎだったと我ながら思います。(小笠原玉虫)


29.一枚に瘡蓋剥いて宵の春(琳譜…無点

△いいですね。かさぶたとか耳垢とか、ああいうものをとるのってどうしてこんなに楽しいのでしょうか。この何とも言えない快感、結構愛好者が多いらしく、2ちゃんねるにスレッドがあるくらいですよね。で、こちらの句ですが、〆の「宵の春」、この季節感と、かさぶたを剥いたあとに表れる、薄ピンク色の新しい皮膚とのうつりがいいなと思いました。素晴らしいフェチ句と思います。(小笠原玉虫)


34.らんちうに届かぬ舌と尾は二復(endou huma)…無点

△こちら、「二復」の意味がよく分からなかったのですが、景としては、ネコが蘭鋳を捕まえようとちょっかいを出している景なのかなと思いました。ん、でもそうしたら前足でバッシャバッシャやるところか。舌と尾も、そうなるとよく分からないな。詠み人の自解を伺ってみたいです。(小笠原玉虫)


37.今日もワルを気取れないで桂花ラーメン(前田_獺太郎)…無点

△何故か尾藤イサオの曲を思い出しました(どーでもいい)。でもそんな魅力や渋みが自分にないのが分かってる、そう取りました。桂花ラーメンというのは実在するお店なんでしょうか……下町の飲み屋街にありそうな、そしてそういう場所で一人ごちてる主人公の姿が目に浮かびます。気取れない、というのも本当はワルになってイワしたい本音がにじみ出ていると思うのですが。是非このラーメン屋に通いつめてみたいです!(風橋 平)
△いいですね。フッ……と、ニヒルにバーで煙草をくゆらせる。そのまま帰ってしまえばシヴいのに、あーおなかすいたと〆のラーメンを食べに行ってしまったのでしょう。こういう人、かなり好きです。ワルになりきれないやさしさが垣間見える気がします。(小笠原玉虫)