2015年6月27日土曜日

第九回新宿屑句会 結果発表ぉ!(^〇^)

大変お待たせいたしました、

第九回新宿屑句会、結果発表をさせていただきます…!!






九代目屑王は…同時優勝でダブル屑王!!





北大路京介さんとタケウマさんです!

おめでとうございます!!(^〇^)♪♪♪


AV延滞と元死刑囚大人気でした。

本当におめでとうございます!!!(^〇^)♪♪♪





さて、以下が投句全作品の点数と選評でございます。


どうぞ皆様、お楽しみくださいませ…!!!


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04.AVの延滞料で救えた命がある(北大路京介)…10点

◎ああ…これは募金とかしてないわ、延滞料払ってる方に一票!と、思わず笑ってしまいました。これも人間のひとつの本能なのかも。(このはる紗耶)
◎AVではなくともそうなのですが、とても悔やまれますね。自分だけではなく遠くの命と繋げて嘆いているのが勝手で良いと思います。(木曜何某)
◎自身の精子を殺している間に、誰かの命を救うことを考えることが楽しい句。延滞している間も見続けたのでしょうね。AVの延滞料が350円だとすると、ビッグイシューが買えるなと思いました。そのうち180円がホームレスの方の収入となります。他にもインターネットで検索すれば、100円でできることなんてたくさんでてきますね。(鈴木桃宙)
○「救えた命がある」はCMなどで聞いた覚えのあるフレーズ。それにAV、しかもそれを延滞したと付け加えられて、フレーズが非常に空々しく言われているような感です。延滞の主は何を考えているか、もしかしたら命について大して考えていないようにも取れる怖さを感じました。皮肉的と思います。(風橋 平)
○この句の主人公、人間臭くて私は好きです(笑)。罪悪感を感じているところにまだ救いがあるからでしょうか。性と生のせめぎあい、のようなものも感じられて良いですね。(紫蝶)
○選んでおいて何なんですけど、AVの延滞料じゃなくてもいいよね~♪ いろんなものの無駄を世界を救うために使えるのにね~。問題は、延滞した間中ずっとそのAVを見てたのか!ということだね~。見続けたほうに500円(AVの延滞料分)賭けます♪(タケウマ)
○お、おう。これはほんとにお、おう。以外返しようがないですね。このように世界平和に思いを馳せるようなお人柄でありながら、何故延滞なんてしたのか。AVを。繰り返します。AVを!! 延滞すんなよ!!(小笠原玉虫)



07.元死刑囚として白く揺れてをり(タケウマ)…10点

◎死刑が執行された「元死刑囚」なのか、何らかの理由で死刑をまぬがれた「元死
刑囚」なのかわかりませんが、「白く揺れてをり」という描写が、人間として大
切な何が失われた姿のようでドキッとします。(しま)
◎死刑を解かれた身、あるいは刑死した身。元々は死ぬはずであって、人としての輪郭が薄れているようなところを的確な言葉選びで表現していると思います。これが「陽炎」などの語を使ったら全くこの空気が失われると思います。そして要は、「~として揺れており」と揺れている自己を認識しているということじゃないかと。だからこそ、魂が抜かれたような悲しみがあるんじゃないかと。凄いです。(風橋 平)
◎いいですね。しずかでさみしい光景です。元死刑囚ってきくと冤罪で解放されたようなイメージがありますけど、執行されたあとなら……やはり「元」死刑囚ですね。胸にせまるものがある光景です。(小笠原玉虫)
○冤罪だったのかしら。疑いも晴れ堂々と生きていてもいい筈なのに今もなお白く揺れている。世間の冷たさ世の無情を感じます。切ないお句ですね。(文月さな女)
○「白く揺れてをり」…ということは執行されてしまったのでしょう。ついさっきまで生きていた人がボタン一つで死んでしまった。元死刑囚がどんなに悪い人でも、嫌な気持ちになりますし、やっぱり死体は見ていて気持ちの良いものではありません。ここでいう「白」というのは、死体の色であり、人間本来の美しさなのでは…と思いました。ぞくぞくくる句です。(鈴木桃宙)
○冤罪だったのでしょうか。拘束されている間、いつ刑が執行されるのかビクビクし、白くなってしまった。それは髪かもしれないし、他の部分かも。有罪無罪の白黒ともかかってるかもしれませんね。冤罪、しかも死刑囚の心、筆舌に尽くしがたいですね。(北大路京介)
○タナトスを扱う句を取る傾向が小生にはあるが、それ故作中のタナトスの扱い方には厳しくしているつもり。そんな中この句はフィクションを詠む句ならではの世界観が垣間見える。ノンフィクションとなれば話は別だが。(前田_獺太郎)



18.元々抵触してる(琳譜)…6点

◎元々~に定職や停職への反発する響きも感じます。パンクで力強くてとてもスキです(endou huma)
○何に、なのかがわからなくてぞくぞくします。(しま)
○何か法やルールが変更されたので確認してみたら、前から抵触していた。おもしろいですね。(木曜何某)
○※運営者注 コメントなし(五月が丘はさみ)
○特選に限りなく近い並選。スゴいですねこれは。抵触っていうからにはよくないものなんでしょう。生まれながらの悪です。わたし恐ろしいです。でもどうしようもなく惹かれます。(小笠原玉虫)



20.元に戻りそうに割れるなよ(木曜何某)…6点

◎不可逆な物事に対して人は愚かにも可逆を望み、改めて不可逆であることに打ちのめされる。そんな人の生まれ持った哀しい性情をコンパクトに詠んだ。今回の一番です。(前田_獺太郎)
○うーん。共感しました。綺麗に割れたばっかりに諦めが付かないんですよね。いっそ粉々になってくれていれば…。接着剤で付けたものの、やっぱり元には戻らない。虚しいですよね。(文月さな女)
○これ惜しいなぁ、、私も今回やっちゃったのですが視点がもう少しずれていたら間違いなく特選に即決めでした。とても素敵です。これザ正統派!みたいな句に仕上げて欲しいという願望がフツフツ湧いていますw(琳譜)
○これかなり好きです。うわ、どうしよう……でも、これ、くっつければ何とか……って未練をもってしまう感じの壊れ方なのでしょう。でも戻らない……かなしい……そう言えばわたくし、去年PCにラーメンぶっかけて壊したんですけど、あれもね……拭いてしまえば全く大丈夫そうに見えたのに……のに……(小笠原玉虫)
○※運営者注 コメントなし(五月が丘はさみ)



25.君にはクマに見えていた雲に濡らされている(木曜何某)…5点

◎読んで少し切ない気持ちになりました。この「君」がこの世にないものに思えたのはなぜだろう。「濡らされている」のは、その雲から降る雨に、なのだろうけど、雲を見て涙を流している、とも読んでしまうのです。(吉村一音)
◎特選です。子どもが雲を指さし「くましゃん、くましゃん」と言っているとこ
ろから、その雲が大きく黒く発達し空を覆い、容赦なく傘のない者たちへ雨を降らす。
くまのプーさんに接する気分でリアル熊に近づいて行ったら爪でざっくり殺られてしまうといったような空想と現実のギャップを感じさせる句ですね。(北大路京介)
○一緒にいた君が「あの雲、クマの形」と言った雲から雨が降ってきたのですね。無邪気な発言に「かわいい♪」と思った天罰なのだと思います。ん、ずぶ濡れも二人だったら楽しいって……、リア充はこれだから…(タケウマ)
△とってもいいですね。何でわたくしこちらを取らなかったんだろ。こちら、タケウマさんがおっしゃるように、一緒に雲をみていた恋人がクマみたいなかたちねーとか言ったあと帰っていき、その後雨がぱらつき出したってことなのでしょう。時間の経緯をうつくしくい表現出来ていると思います。クマみたいという恋人もとても可愛い。可愛い恋人たちって感じがします。もしくは、孫がそんなこといったあと帰っていき、少しさみしい気持ちで雨に濡れているじいちゃんかばあちゃん、という解釈をしても、胸がキュンとします。(小笠原玉虫)



38.白犬は天使レモンの庭にいる(小笠原玉虫)…5点

◎愛犬の追悼句をありがとうございました。あれから庭仕事の度にこのお句を思い出しては存在を感じて心癒しています。これからずっと忘れられない句になりました。特別なお句。特選です。(文月さな女)
○文月さな女さんの愛犬、あさ吉くんを思い出します。絵画のような、遺影のような、優しい色彩の切なくて愛しい景です。(このはる紗耶)
○レモンは美しいレモン色をしているけど、レモンの葉もまるでおとぎ話の絵のように、あざやかな緑色。さみしいのに、さみしさを感じさせない色彩。白犬が暖かく見守ってくれている。(鈴木桃宙)
○あさ吉くんの句ですね。レモンの木のあるさな女さんの庭でしょう。追悼句として一票♪(タケウマ)
△あさ吉くん追悼句です。さな女さまのうつくしい庭で微笑んでいたうつくしい白い犬のことを、わたくしは決して忘れません。(小笠原玉虫)



14.元栓を締めるおわかれの一工程(しま)…4点

◎最終の優しさのような、優しさとはまた別なような、複雑で微妙な機微を感じますね。(五月が丘はさみ)
○別れ際の握手のようで触感が残ります。身にくっと締まる、踏み出していく感じもしていいと思いました。(endou huma)
○ 「一工程」と句にはありますが、私には最終工程に思えました。元栓をしっかり締めることで、未練やら何やらを断ち切ってお別れするのかもしれません。(紫蝶)
△いいですね。引っ越しの景と思います。がらんどうの部屋。最後にガスの元栓を閉めて、出ていく。あたらしい毎日に心を躍らせながらも、少しさみしい。そんな風景を思い描きました。(小笠原玉虫)



16.語尾にニャをつけて元嫁(北大路京介)…4点

○ニャをつけてしまったから元嫁になったのか、元嫁が思いもよらずニャを付けてきたのか・・・おもしろくていいですね(endou huma)
○ちょっと何があったんだとちょっと心配しますね。(しま)
○元嫁がニャとつけて話してきたのか、ニャを付けたせいで別れてしまったのか。(木曜何某)
○「何々にゃ♪」とかいうムカつく女性いるよね~。元嫁となっても仕方ないよね。そんな女性と一度は結婚した自分もしっかり見つめなおそう♪(タケウマ)
△これはうざい。会いたくもないのにばったり会ってしまい、しかもなんか媚びてる……って状況なのでしょう。勘違いコスプレとかもしてそうです。これ「元嫁」だから味がありますね。元彼女だったらダメージは少ないのに、一度は添い遂げるつもりになった相手なんですよ。いろんな意味で心が痛くなってくる名句です。(小笠原玉虫)



08.元は人であった一握を海に風に(前田_獺太郎)…3点

◎特選です。遺骨を散骨しているのですね。故人はおそらく海が好きだったのでしょう。寂しくもありますが、ある種美しい光景だと思いました。(紫蝶)
○散骨葬の景だと受け取りました。波の音、頬を撫でる風、青い空、その中へ消えてゆく遺灰。静かで祈りに満ちた、さらりとした文言なのに胸にガツンときた句です。(このはる紗耶)
△これはうつくしく悲しい。これは故人と内緒の約束をしている詠み人である気がする。普通にお骨を拾ったときに、そっと少しばかりの遺灰を頂戴してきたのでしょう。そして、船に乗る。甲板からそっと、故人が愛した海に。お墓に全て収めるよりも、故人は自由になれる気がします。元死刑囚の句と並んで「元は人であったもの」のかなしさをうつくしく詠めた句という気がします。(小笠原玉虫



10.元勲の写真と共に夏座敷(風橋 平)…3点

○イメージが浮かびます。お盆って感じがします。(と共に夏座敷)法事でしょうか。賑やかな感じもします。またこの日がやってきたという響きも感じて好きです。(endou huma)
○いかめしい昔の政治家の写真が飾ってある座敷で、何かの折に、一人で座ってい
る羽目になったって感じでしょうか。風通しのいい和室に所在なさげに客として
座らされている感じがいいなと思います。(しま)
○太陽高度の関係で明暗のコントラストが強烈な夏の古民家の座敷、暗がりとなった長押に判然としない古い写真や賞状。夏休みの少年少女を待ち構える冒険やオカルトを匂わせる。(前田_獺太郎)
△いいですね。高いところに掛けてある軍服姿の曽祖父の写真を見上げながら、ひんやりと青い畳の上に寝転んでいるのでしょう。この時聞こえてくる蝉の声はひぐらしのような気がする。夏休みは何故もの悲しいのか。それはきっと完璧にしあわせだから、なのだと思います。そんな夏のもの悲しさをあざやかに切り取りました。(小笠原玉虫)



30.ここに心臓があって星を眺めるばかり(吉村一音)…3点

○圧倒的な自然と対峙する時、そこには意識の視点を超えたただの一個の命があるばかりである。そんな境地に踏み込んだ一句。(前田_獺太郎)
○いいですね。ふつうにほんとにいい句です。とりますこれは。生きてるって感じがします。悩み深い様子でもあるけど、星は光っているし心臓は力強く脈打っている。きっとこの詠み人は大丈夫!(小笠原玉虫)
○※運営者注 コメントなし(五月が丘はさみ)



05.天使居ぬ仏間でオナニーする人ぞ(endou huma)…2点

○オナニーの語源となったオナンは、神の怒りに触れて殺されてしまったといいます。
もしかしたら、天使に見つかったら殺されるのではないでしょうか。(北大路京介)
○これは酷い。俳句としてはとっても面白いけれど状況はとっても酷い!! 天使には遠慮するのに、仏様には見られてもいいっていう。どうして仏様ならいいんだ! 祖先だから? ご先祖様の白黒写真が苦虫を噛み潰したような顔をして見下ろしていそうです。(小笠原玉虫)



12.根元までくわえて歯形を刻んだ(紫蝶)…2点

○昔っから、歯形を付けるのは恋の沙汰。と思うのは自分だけでしょうか。
どんなコトをしていても、歯形を付けるほどの愛憎が湧く。それを意外?な場所に付けることで印象深くしている効果があると思います。最後に、刻む、とあるせいか、事の終わりにせめて傷を残して行くようで、切ないです。(風橋 平)
○「根元まで」で検索するとエロいホームページがたくさん出てくる不思議…。この句も多分、エロなんだと思います。自分の名前や、ハートマークではなく歯形を刻むのがマニアック。そういう性癖か。(鈴木桃宙)
△えーと……痛そうです……あっごめんなさい、何の根元か分かりませんよね。わたくしが思ったものとは全然ちがって、そう! きっとイカの足とか? をガブッといったのかもしれませんよね! ヘンなことを想起して大変申し訳ございませんでした!!(動揺)(小笠原玉虫)



17.歯のない顔が笑って新宿はさびしい月(タケウマ)…2点

◎出鱈目に生きることでなんとか生き延びられた人の側面が“歯”と日本一の風俗街を抱える“街”とを並べることで優しく伝わりました。素敵です。(琳譜)
△貴重な新宿感のある句。せつない匂いがする。(前田_獺太郎)
△みんなのアイドル☆歌舞伎町のあの人を想起。どぎつい態度と笑顔で哄笑していても、繊細さをそっと抱えているあの人だからこそあんなにも皆から愛されるのでしょう。新宿はチンピラの街でありさみしんぼうの街でもあるのですね。(小笠原玉虫)



21.また止められている人魚と二人乗りの男(前田_獺太郎)…2点

○もし乗っていたのが自転車ならば、ただでさえ二人乗りは禁止されているのに、人魚と二人乗りとは...止めた警官も処分に困るでしょうね(笑)。(紫蝶)
○これ分かんないね~。また止められていると……何度も…… ま、まず人魚と二人乗りってのが面白い。またやっちゃうんだからこの行為がやめられないと。禁断の二人乗りって気がします。まぁ、二人乗りは禁断か…(タケウマ)
△バイクでいつも人魚と二人乗りをしている男。これ、人魚は本当に人魚ってんじゃなくて、萌え系抱き枕とかそういうもののような気がします。アリエルの抱き枕をおぶって信号待ちをするスクーター。「またキミか!」いつもの巡査さんの声。シュールだけどにくめない変態です。(小笠原玉虫)



22.五月雨さみだれクロワッサン抱いて眠ろう(このはる紗耶)…2点

○「さみだれさみだれ」の響きが心地よい。雨で見えない三日月を思っているのでしょうか。ほんとにクロワッサンだったら、朝にはクズまみれですね。(吉村一音)
○五月雨さみだれというリフレインとクロワッサンがいい感じです♪ うっとりしました♪(いわしのから揚げを食いながら♪)(タケウマ)
△いいですね。ストレートにいい句です。わたくしが所属しております結社では非常に好かれる感じの句と思います。憂鬱な雨だけど胸にはお気に入りのお店のクロワッサンを抱きかかえている。傍らの紫陽花はあざやか。可愛らしい世界観と思います。(小笠原玉虫)



24.カエルも御つかいなのだろうほら雨が降ってきた(前田_獺太郎)…2点

○かわいらしい。そうか、カエルは天の御つかいか。でもこれは小さなアマガエルであってほしい。ガマガエルでは、ちょっと。(吉村一音)
○あいさつ句、そして天使句としていただきました♪ まあ、カエルと雨の因果関係はわからないけれど♪(タケウマ)
△当句会への挨拶句でしょう。誠に有難うございます。句としても、いいですね。可愛らしいけれど甘くなりすぎずにすっきりまとまっています。カエルは雨の神様の御つかいなのでしょう。嬉しそうに彼らが鳴いたら、ほら、雨。いまの季節にぴったりな一句となりました。(小笠原玉虫)



27.ここ通る時いつも火事場の匂いする(しま)…2点

○本当はしていないのに、火事のことを思い出されて匂いを感じているのでしょうか。(木曜何某)
○これって、火事が起こっているわけではないのに、ものが焼け焦げていく火事場の匂いがする。なにかよからぬものが秘められている場所なのでしょう。日常の中に異界への入り口が潜んでいるのですね。(タケウマ)
△タナトスや非日常、あるいは生物の本能としての火へ警戒心がただよう「火事場」という言葉。テーマは好きなのだがどこかに一個助詞を入れた方が口で訓んだときにすっと入ってくるのでは。(前田_獺太郎)
△いいですね。こちら大変好きです。タケウマさんの解釈に全面的に賛成。ここは前に火事があったけれど、いまはキレイに復旧されていてそんなことがあった面影もないんだけど、やっぱりなんか不穏な雰囲気が残っているのですね。そういう場所ってこわいけれど何となく気になって、わざと近くを通ったりしてしまいますよね。いいですね。こういう微妙な不穏さを、簡潔な表現でズバッと捕まえた。お見事と思います。(小笠原玉虫)



29.涙は出ているけれどこれは嘘泣き(鈴木桃宙)…2点

○嘘泣きの上手い人、人を欺くのが得意な人、いますいます。生きていると色んな人に遭遇するけど、冷ややかな視線でその一端をきっぱり言い切っている句ですね。その勢いが小気味良いです。(このはる紗耶)
○何をもってウソ泣きとするのか、考えさせられました。心が入ってないんでしょうね~。涙が流れているからと言って信じてはいけませんね。かように小悪魔は恐ろしい。(小笠原玉虫)



31.元はくらげであった足がくさい(吉村一音)…2点

○前世が海月だったということなのでしょうか。海月で義足を作ったのでしょうか。臭いを感じるのは後者ですね、海月製の義足。一見ステキに見えるのに臭うというところが面白いです。(北大路京介)
○拙句「よくはたらいた足がくさい」に似ているなと思い、でもこっちのが上ですね。キモチワルイ人魚的?な生き物を想起。くらげが転生してひとになったんだけどなんかぐにゃぐにゃの足だしくさいみたいな。こういうの大好き!!(小笠原玉虫)



32.月曜ねじ伏せた焼きそばを喰らう(小笠原玉虫)…2点

○これ、ねじ伏せた、で切れると取りました。「食う」では駄目だったのかが気にかかります。月曜、平日最初の日をやっとこさ乗り越えても、食うのは何の豪華さの欠片もなく焼きそばというのがリアルです。明日の為に深酒なんてできない、などといったところでしょうか。「~ねじ伏せた/~喰らう」と切れ字もなくぶっきらぼうに言っているのが、労働の奴隷(は、過言でした)のように自分からは何もできずただ疲れている生活を思わせます。だからこそ、自発意思的に感じる「食う」という動詞では足りないとも感じます。でも生活臭にあふれているのが、好きです。(風橋 平)
○日曜日に残ってしまった焼きそばをタッパーに押し込んで月曜のお昼に一人虚しく食べること…ありますね。もはや美味しくもない焼きそばを機械的に口に詰め込み、そしてそれが着実に身になってしまうのです。ああ。(文月さな女)
△拙句ですけど。うーん、いま見直すと切れるところが分からない……。「月曜をねじ伏せてやったぞ! さて焼きそばでも喰おう」ってことだったんだけど、まるで焼きそばが月曜をねじ伏せたみたい。推敲しないとダメねー。(小笠原玉虫)



37.天使よりあずかる庭や時計草(風橋 平)…2点

○これもあさ吉くん句だと読みました。おかあさんが大切にしてきた庭では、今も天使(あさ吉くん)が遊んでいるのですね。時計草の花言葉が「聖なる愛」というのもいいです。(吉村一音)
○時計草ってとても肉肉しい姿ですよね。大罪やら十字架を抱えて禍々しくありながら天命を預かる天からの使い、、言葉がスッキリおさまり綺麗に景がみえました。  (琳譜)
△トケイソウ→イエス受難の花というつながりでしょうか。こういう衒学的な作り方、好きです。(前田_獺太郎)
△いいですね。初夏の庭の穏やかな光景。トケイソウはかわいいっていうよりはちょっとぎょっとする趣がある花ですけど、トケイソウっていう名前が小学校低学年的な可愛らしさがある。天使も遊びに来たくなる祝福された庭なのでしょう。(小笠原玉虫)



01.棺の中の祖父の股間が元気(鈴木桃宙)…1点

○やっちまいましたね。新宿屑句会の代表作ともいえる「ジジイの社会の窓から万札」を彷彿させる雰囲気。当句会の雰囲気もついに固定してきたのかと思うと感無量です。蝋のように青白い顔で横たわる祖父。しかし股間は……ジャキーン!でしたか。死後硬直の作用なんかで本当にありそうですよね。祖父の最後の主張なのか。それとも故人は「おいやめろ俺の体よ」と草葉の陰で赤面しているのか。実に味わい深い句です。(小笠原玉虫)



03.残量の僅かな吾はサイ...ボー......g(五月が丘はさみ)…1点

○面白い。名乗っているうちに充電が切れましたね。手塚治虫『火の鳥』のロビタを思い出しました。神よロビタを救いたまえ。胸がぎゅっとなる切なさでいっぱいです。人でないものに人のような心があるとしたら。これは文学の永遠のテーマのひとつのように思います。永遠のテーマが十七文字にぎゅっと込められました。(小笠原玉虫)



13.くつした片割ればかりなり(endou huma)…1点

○片割ればかりのくつした  の方が心に欠けたものまでみせられたのかな?と読ませていただきました。とても素敵なものを見つけて詠まれていてとらせていただきました。 (琳譜)
△日常の寂寥感や無力感をテーマにした句はものすごく好きなのだが、口で訓んだときに「なり」はない方が欠落感が増したのでは。すごく迷いました。(前田_獺太郎)
△あるあるある……もううちの旦那には同じ靴下ばかり買い与えようと考えるようになりました。そうすれば、どの組み合わせでも大丈夫ですものね! ほんとに腹立たしいことです。(小笠原玉虫)



33.天使に見てから蕎麦アレルギー(北大路京介)…1点

○会場では「見てから」を「みてから」と読んでしまいましたが、これは「天使をまみえて」と読むのが正しいのですね。なるほど、天使は「見た」なんて言っちゃいけないよね。それ相応の敬意が必要ですね。さて、天使に謁見した罰(なのかどうかはわかりませんが)が蕎麦アレルギーという落差が味わい深いです。(タケウマ)
△も、申し訳ない、意味が全く分かりませんでした……。「に」って助詞がこの句を分からなくしてるな。タケウマさんの解釈のように、「見てはいけない天使というものを見てしまった! バチがあたって蕎麦アレルギーにされてしまった!」ってことなのかな。こちらの解釈だと神罰が蕎麦アレルギーって非常に微妙な感じで面白い。けどわたくしは一見して意味を掴み兼ねました><(小笠原玉虫)



02.元彼と ぱったり出会う 歌舞伎町(内田きよし)…無点

△元彼ってこの世で一番会いたくない人ですよねぇ……これはいろんな状況が考えられますね。男が夜の人になっていた場合。その逆。もしくはどちらも会社の飲み会のあとでちょっと羽目を外した感じで歌舞伎町を練り歩いていたら、同じことをしている相手に会ってしまったか……どの場合にしても、お互い「あ」と思うだけで通り過ぎていそうです。次のドラマは敢えて求めず。そういう態度が我が身を救う場合もある。そんなことを思ってしまった句でした。(小笠原玉虫)



06.足元にゴムの散らばる夏の朝(紫蝶)…無点

△このゴムは……やっぱりあのゴム? 夜中に「散らばる」程のゴムを消費したのですね。元気なことはいいことだ。だけどゴミ箱にくらい入れましょう! 先生と約束だ!(小笠原玉虫)



09.天使の人形と擦り切れた絵本棺にはそれだけ(このはる紗耶)…無点

△これはふたつの意味にとれますね。子供さんが亡くなって天使の人形とお気に入りの絵本を持たせてあげたのか。はたまた天使の人形とお気に入りの絵本を埋葬するじぶんだけの儀式だったのか。わたくしは後者が好みです。秘密の埋葬で子供時代をひっそりと葬った景のような気がします。実にわたくし好みの世界観です。(小笠原玉虫)



11.「元気」とふメール炎昼の防護服(このはる紗耶)…無点

△いいですね。原発句ですね。暑い中防護服に身を包んで原発の処理作業をしている人に「元気?」とメールが来たのでしょう。送り主は家族か恋人か。作業員とメールの送り主の両方に感情移入してたまらない気持になりますね。原発問題が安全に解決することを心よりお祈り申し上げます。(小笠原玉虫)



15.元野良いまやわが家の女王だ(小笠原玉虫)…無点

△保護した野良猫がうつくしい御猫さまになり、家族みんなひれ伏している。そんな光景を詠んでみました。全ての猫にあたたかいおうちがありますように!(小笠原玉虫)



19.割り切れぬ大三角と冬の息(五月が丘はさみ)…無点

△「大三角」は夏のと冬のがありますので、てっきり夏の大三角かと思ったら「冬の息」と続く。うーん、謎解きしたくなりますね。当句会は季節感は重視しておりませんが、いまこのとき何故冬の大三角を敢えて詠んだのか。冬に割り切れぬ思いをなさったのかな。満点の星の下、忸怩たる思いを抱えそれでも生きるしかないのが人間なのかもしれません。(小笠原玉虫)



23.衣替えいかれぽんちの羽根の跡(琳譜)…無点

△こちら、ちょっと意味が分からなくて、なので完全にわたしの想像で言ってしまいますね。衣替えして夏の服を出していたら、去年着ていたDQN丸出しのデザインの、ウィングとか描いてあるTシャツとか出てきちゃって「あああ……」って我ながら呆れているのかなと。去年の夏はツレとブイブイいわしてたんだけど、秋に素晴らしい女性に出会って電撃結婚、そしてお堅い職業に就いて生まれ変わったように暮らしていて、ブイブイ時代のことなんてすっかり忘れていたのでしょう。これは素晴らしいお嫁さんに感謝ですね。(小笠原玉虫)



26.五月雨や天使が用を足してゐる(紫蝶)…無点

△随分と勢いがいい。それに天使ってそんなにも巨大だったかしらん。梅雨には良し悪し色々なことを感じるとは言え、いかにいいところを見つけようとやはり梅雨は鬱屈、と相場が知れている矛盾をこんな風にさらりと表現するとは思ってもみませんでした。天使を主格に持ち出さず、五月雨の喩に持って来た発想にも完敗。(風橋 平)
△面白い。五月雨は天使のおしっこなのかも、という発想ですね。ふつうはおしっこなんてかけられたらうわっと思いますけど、天使ならば仕方がない。もしくはこの詠み人はおしっこプレイが好きなのかもしれない。ご自分の性癖を天使にかこつけて世界に向けて発信したとしたら、むむ、デキる。相当な手練れです。(小笠原玉虫)



28.元ママも 今や母に 納まりて(内田きよし)…無点

△ママがしあわせになって本当によかった! こういうしたたかな女性は本当に大好きです。男性から見たらどうなんだろ? 同性からだと天晴れと言いたくなります。小さなお子さんが二人くらいいる家庭的な奥さんなのに、何ともいえない色気が漂っていそうです。物語性を感じる一句です。(小笠原玉虫)



34.異人街来ればダリヤに花言葉(風橋 平)…無点

△NYのハーレムみたいなところを散歩していたら、あざやかにダリヤが咲き誇っていた、という光景でしょうか。ハーレムという街の匂いとダリヤがなんかスゴくよく似合っている気がします。ちなみにダリヤは「感謝」「裏切り」と真逆の花言葉を持つそうです。面白いですね!(小笠原玉虫)



35.バカボンの頬に天使の根性焼き(タケウマ)…無点

△か、可哀相だよ(´;ω;‘)ウッ バカボンはバカだから、「何するの~~~~~ぎゃーーーー熱い!!(泣)」って、じぶんが何をされるのか分からぬままに根性焼きされてそうです……何と残酷な……詠み人は真性Sにちがいありません。(小笠原玉虫)



36.つゆ晴れま家宅捜査の足の跡(琳譜)…無点

△な、何があったんだ……家宅捜索って脱税とかのイメージがありますよね。梅雨の晴れ間の酷く暑い日。ワイシャツを腕まくりした捜査員たちが次々を段ボールを運び出しているのでしょう。それを遠巻きに眺めているヤジ馬たちの、殺した息遣いも聞こえてきそうです。(小笠原玉虫)






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