2014年2月10日月曜日

第五回新宿屑句会 結果発表ぉ!(^〇^) …その1

大変お待たせいたしました、

第五回新宿屑句会、結果発表をさせていただきます…!!






五代目屑王は…





藤井雪兎さんです!

おめでとうございます!!(^〇^)♪♪♪


そしていぶりがっこ贈呈の雪兎賞は……うぐいすさま!!

おめでとうございます!!

ちなみにうぐいすさまにはいぶりがっこ送付済みです♪ お楽しみ頂けたでしょうか。

本当におめでとうございます!!!(^〇^)♪♪♪





さて、以下が投句全作品の点数と選評でございます。

今回、投句数が多かったため1ページに収まりませんでした><

そのため、「その1」では1点句までを掲載させて頂きました。

無点句は「その2」をご覧くださいませ。

どうぞ皆様、お楽しみくださいませ…!!!


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26.破局まで気付かれなかった性感帯(藤井雪兎)…12点


◎特選です。気付いて貰えてたら破局してなかったのかも。若かったから気付かなかった、時間が戻るならやりなおせるのに・・・ なんて。(北大路京介)
◎自分本位な態勢の相手だったんですね。(なかやまなな)
◎気づいて欲しかったけど、気付かれなくてホッとしている気持ちもあり。関係性によりその比重は常に変化するからタイミングだな、と、大きく実感。(詠美)
◯だから破局を迎えたのでしょう。自己申告できない関係なら分かれるしかない。(Jirotyo)
○パートナーだけではなく、自分自身も気付いていないのかもしれません。いずれにせよ、二人のどこかドライな関係がうかがえます。
○なぜ自ら明かさなかったのか。だから破局したんじゃないのか。さみしい句。(木曜何某)
○これは手練れの仕事人です。(圓哉)
○読者にあれこれ余計なことを考えさせる句こそいい句だとボクは思っていますが、その意味ではつっこみどころ満載のこの句が今回ピカイチでした。ちなみに、この性感帯、ボクは自分でも気づいてなかったんじゃないかと読みました。ん、んなわけないか……(タケウマ)
○北大路翼
△句会当日非常に話題になった句。これは悲しい。気付いていたら破局はなかったかもしれませんね……しかしこれも縁というものなのでしょう。前を向いて生きて行って下さい。(小笠原玉虫)


23.空缶を潰しぐにやりと冬の月(梶原由紀)…10点


◎「ぐにやりと」がどこにかかるかによって読み方が変わりますが、やはりここは「冬の月」にかかると読みたいです。硬質なものが変形するというのは何かしら不安なこと、あるいは不愉快なことの表れのように思います。空缶は蹴飛ばしながら帰るんでしょうか。町にはくずかごもないし。(うぐいす)
◎空缶を潰したら今目の前にある月のかたちになった、季節はたまたま冬である、ではない。冬の月の冷たさの先にある先の見通せなさがそのままかたちとなり手の中にある、それは自分が潰した空缶。(さくら)
○缶を地面に置いてぐしゃっと潰したら、プルトップが持ち上がり、月と重なった感じがいい。(二階堂きなこ)
○道で潰れている缶と空の月が響き合ってる感じがいいと思いました。(ずるこ)
◯酔ってますね。ぐにゃりから怒りも感じます。(Jirotyo)
○図らずも、もうひとつの冬の月を作ってしまったかのような驚きがある。(藤井雪兎)
○「ぐにやりと」が「潰し」にかかっているのか「冬の月」にかかっているのか気になりましたが、潰された空き缶と冬の月の取り合わせがとてもステキです。冬の月がぐにゃりとしていたほうがおもしろいので、「空缶を潰す」と切れが入っていたら特選だったかもしれません。(タケウマ)
○独特の孤立感がある。冬の月というとこの前の満月の感じで、歌舞伎町の呼び込みが潰しているのかなと思いました。(椚人)
△句会当日に非常に話題になった句。潰れた空き缶と冬の月の取り合わせが非常にうまいと。ぐにゃりがどこにかかるのかでも意見が分かれました。わたしは酔って視界がぐにゃりと歪んだイメージ。勿論空き缶はお酒の缶で、酔った目で見た月が歪んで見えたのかなと。大好きな句です。(小笠原玉虫)


20.初雪やこむらがえりの美しく(タケウマ)…8点


◎あまりにいたいこむらがえりに襲われた日、ひらひらと雪が降ってくる―視覚と身体感覚の分離が面白いと思いました。(十月水名)
◎寝ていてこむらがえりになって「痛い!」と目覚めると、朝日が眩しかったのかなと思いました。痛みと眩しさがシンクロしてていいです。(二階堂きなこ)
○「美しく」でちょっとごまかしてる感じはあるかな。こむらがえりと初雪は相性がいいように思います。(五十嵐筝曲)
◯これは女性のふくらはぎを想像しました。とてもセクシーな句だと思います。(Jirotyo)
○寒い夜に、バレリーナのつま先のようにピンと伸びた足が薄暗い中浮かぶ情景が目に浮かび、痛々しいこむら返りを、ここまで美しく詠むなんて。(詠美)
○あいたたた! こむらがえりはとっても痛い! けれどこちらの句は、何故かバレリーナを想起させて美しいです。冬の寒さ・冷たさと痛みというものは相性がいいものですね。(小笠原玉虫)


09.チョコレートがあらぬ方向に割れて初雪(うぐいす)…7点 ※雪兎賞


◎チョコレートの甘さと雪の冷たさとが口の中で溶けて行くような錯覚を起こさせる句。(Jirotyo)
◎冬ならではの、チョコレートが割れる澄んだ音。もし思惑通りに割れていたら、どんな音になっていたのだろうか。ささやかな占いを彩るように降る初雪も優しい。(藤井雪兎)
○パキンと折ったチョコレートが三角形になってしまう日に雪が。寒さをチョコレートの割れた形で詠まれているのにすぐに通じる。その分この人の姿まで見えるようです。 (琳譜)
○助詞をすべて省いて簡潔(チョコレートあらぬ方向割れて初雪)にあっても面白かったとも思います。そうなるとまた別の趣の一句になったかも知れません。思わぬ初雪と、あらぬ方向に割れるチョコレート。うまいなあと思いました。(anomee)
○あるある。板チョコを筋にそって割ろうとして、バキッと尖った感じに割っちゃったりしますよね。鋭く割れたチョコレートと初雪の冷たさ、またただの雪じゃなくて初雪って辺りに、青春というか若さを感じます。初々しい句です。(小笠原玉虫)


12.母親の名前が変はるお年玉(北大路翼)…6点


◎色々解決していないことなどをふと思うとき足先の砂を見つめている、、そんな光景を思い浮かべました。日常の切り取りの意味を読み人にはなから「頼りきる」ものが多いなか目が行きました。 (琳譜)
○母親が変わるって衝撃的ですけど、新生活ということで前向きな感じもするなと思いました。(二階堂きなこ)
○離婚?再婚?と思ったけど、もしや芸名をつけて芸能界デビューとか?いずれにせよあまりうれしいお年玉ではないのかも。たとえ額が増えていても。(うぐいす)
○両親が離婚された後、お父さんと暮らしていたのですね。そして新しいおかあさんを迎えてお正月が来たと読みました。なんとも複雑でビミョーな状況がたった十七音で詠まれていますね。やっぱり俳句ってスゴイや♪ ん、詠んだ作者がすごいのかw でも、どんな顔してお年玉をもらえばいいんでしょうねえ……(タケウマ)
○すごく好きです。お母さんの名前が書いてあるお年玉って、よそよそしい。これは母親が変わったのかなと。リアルな感じします。(椚人)
△句会当日も非常に話題になった句。新年に新しいお母さんが来て、新しい生活が始まる。そういった景でしょうか。重いものを抱えながらも、どこか希望を感じる句。幸せを願って止みません。(小笠原玉虫)


40.  パソコンの微音冬の蠅がゐる(五十嵐筝曲)…6点


◎微音の「び」が蠅の羽音と響き合ってる。音がいいです。飛び出さずにバタつく感じが一人で死んでいく感じがして胸に迫る。(北大路翼)
◎ハードディスクが書き込みをする音でしょうか、パソコンが作業する音に気付くのですからきっと静かな室内なのでしょう。ふと手を休めると、その微音に共鳴するかのようにじっとしている冬の蠅を見つけたのです。息をひそめる蠅の姿は冬の静寂そのものです。パソコンという俗なお題が詩になりました。見事です。(タケウマ)
○機械の無機質な音は、背景の静けさもあいまってまさに冬の感触である。パソコンの微かな音を、蝿のわずらわしい羽音に喩えたのも絶妙である。また、パソコン・蝿・冬と無彩色のイメージが繋がるのも、よくできていると思う。(梶原由紀)
○私は逆に、冬が来ても生きている蠅ということで生命力を感じました。ちょっと距離を置いてみている感じもいいです。(ずるこ)
△句会当日大人気だった句。非常にいいです。個人的には「冬の蠅」という季語を使った句でこれ以上に好きなものはありません。冬、さみしさ、死のイメージが美しく響き合っています。それでいて少しもウェットでない。並々ならぬセンスの良さを感じさせる句。大好きです。(小笠原玉虫)


19.ほんとにほしいものはなんだ鴛鴦(をしどり)(小笠原玉虫)…5点


◎「ほんとにほしいものはなんだ」の強い言い切りがいいなと。(ずるこ)
○鴛鴦である必要はあったのかな?と疑問に思います。読み方も(おしどり)と限定する意味はあるのかなと。(五十嵐筝曲)
○仲が良い夫婦のことを、「おしどり夫婦」と言うが、鴛鴦という鳥は、冬ごとにパートナーを変えるそうだ。仲良く泳ぐ鴛鴦に「ほんとにほしいものはなんだ」と尋ねる。すると「もう手に入れている」という答えが、返ってくるのではないだろうか。次の冬には、また別のパートナーに変えるのに。(桃子)
○おしどり夫婦と掛けているのだと思いますが、その背景を想像させるところがいいと思います。男性の投句を思わせる思い切りの良さも感じられ、申し訳ないと言わねばならないかも知れませんが(笑)潔く清々しいです。(anomee)
△はい、わたくしのです。迷い多き最近の自分自身をストレートに詠んでみましたw 「ほんとにほしいものはなんだの強い言い切りが好き」と屍派の皆様からお褒めいただき、とっても嬉しかったです(にっこり)。(小笠原玉虫)


43.  女の名つけてパソコン壊れた(うぐいす)…5点


◎ただただおもしろい。(木曜何某)
◯元妻や元彼女の名前をつけて「そんなに俺のことが嫌いかー!」と悲しくなるド
ラマが思い浮かびました。(北大路京介)
○煩悩にパソコンが耐えられなかったのだろうか。作中主体の情けない姿が目に浮かんで面白い。(梶原由紀)
○パソコンフェチなのでしょうか。じわじわと壊れたのではなく、名付けてすぐに壊れたような印象があり、面白かったです。(十月水名)
△パソコンに名前を付ける。ちょっと前、パソコンが非常に高価で、一部の人間の特権だった頃にはありそうな風景と思いました。壊れた、が、悲しいけれどユーモラス。いや、やっぱり悲しいか。パソコンからも女性からも拒否されたような悲しさがありますね。(小笠原玉虫)


47.  パソコンをゆっくり閉じて団地妻(タケウマ)…5点


○家事をこなした後、美人でナイスバディな団地妻が昼下がりにパソコンを開いている。誰も居ない部屋で一人、閉鎖的な感じがするけれど、実はグローバルなやりとりをしていたりして…。それとも何か秘密があるのか…。そして家族が帰る前に夕食の支度を…とパソコンを閉じて、日常に戻る。秘密めいた感じと色っぽさがあって想像をかき立てられる句ですね。(文月さな女)
○浮気・不倫をしている妻が、夫が帰って来て余裕をもって閉じる感じですね。(二階堂きなこ)
○この「ゆっくり」の間に、彼女は何を思っていたのだろうか。(藤井雪兎)
○団地妻がパソコンを使う理由。①出会い系サイト、さて相手が見つかったか。②通販、それを届けるのはいつもの佐川男子!   (なかやまなな)
○こちらも物語性がありますね。夫の帰宅した音がして「あら、お帰りなさい」そして何気なさそうにパソコンを閉じる妻。絶対悪いことをしていたにちがいありません。SNSでちょっといい男と会う約束でもしたか。悪の香りが強烈な色気を放つ句です。(小笠原玉虫)


50.  パソコンがごはんのにおいして困る(十月水名)…5点


○「え、パソコンってごはんのにおいするかなあ」と嗅いでしまいました…。言葉のリズムが面白くてとりました。鼻をすんすん言わせて周りを気にする姿が浮かんで、はははと笑ってしまいました。(mekeke)
○それは困ります。すごくは困らないけど、やっぱり困ります。どうにかしたいけどどうにもなりません。う~ん、困った困った。(タケウマ)
○北大路翼
○二階堂きなこ
○ずるこ
△当日会場で話題になった句。これは分かる。買ったばかりのノートPCって、何か炊飯器みたいな匂いがしますよね。こちらも「困る」という言い切りが何だか楽しい。ごはんの匂いは平和の匂いですね。(小笠原玉虫)


51.  地吹雪と葬列ゆつくり混ざり合ふ(二階堂きなこ)…5点


◎地吹雪の白銀と葬列の白黒が混ざり合う様は、モノクロ映画のように美しい。吹雪の音があるはずなのに静けさも存在していて、荘厳な印象を受けた。(梶原由紀)
○逆選はマイナス点にもなるという観点から好きなものから選ぶことにしています。この句は何か一言違えば私の中で特選になるのにと思い、逆選の候補と考えていました。今回逆選が無いとわかり他の並選候補を取り消し選ばせていただきました。(琳譜)
○悲しみと雪が静かに同化していくような、日本の風習の静かな佇まいを地吹雪が包み込むような、追っていくような風景を美しく懐かしい、と思いました。(詠美)
○重たいけれど美しい情景ですね。重たいもの(地吹雪)と重たいもの(葬列)が「混ざり合ふ」のは、やはり「ゆつくり」なのです。見たことはないのに、なぜか懐かしさを感じます。(うぐいす)
△こちら、当日とらなかったのが何故なのか自分でも分からないくらいわたくし好みの句。大好きです。冬の強い風のイメージが何しろ大好き、地面を吹き荒れる吹雪、そんなお天気の日にお葬式を出すということ。暗さと、激しい感情が混じり合い、けれども感情表現は一切出さず、実に見事と思います。素晴らしい。こんなふうに、わたくしも詠みたいものです。(小笠原玉虫)


05.初夢や野太い声の弁才天(藤井雪兎)…4点


◎「サイテー」のニュアンスが異なるが、題に沿った句としては一番完成度が高かった。(前田獺太郎)
○マングローブやマツコがすぐ浮かんでしまい、笑える正月ですね。本人にしてみれば、いやな夢だろうけど・・・(圓哉)
○椚人
△これは楽しい。弁天様が夢に現れた! と思ったら、奥方の野太い声でしゃべった、みたいな感じでしょうか。可笑し味と、お正月らしいめでたさがあって好きな句です。(小笠原玉虫)


08.鏡餅がギプスをしてゐる(北大路翼)…4点


◎ギプスをしている鏡餅、意味がわからないのに、その姿を想像できる。ギプスをすると、カビないとか?よく伸びるとか? 前回の屑句会には「サンタクロース養成ギプス」が出ていたが、今回は、なんと鏡餅。こういう筋肉バカ的な句には、「くそっ」と思いながら、いつも笑ってしまう。(桃子)
○割れますね。そこまでたいせつにしなくても、たぶん大丈夫なんですけどね。でもたいせつにしたくてギブス。そこがかわいらしくて好きです。(さくら)
○椚人
△これはちょっと酷い言い草と笑ってしまいました。デブちゃんが正月早々怪我をして、ギプスされてしょぼんとしている光景を想起。断定口調の突き放しっぷりが非常にいいです。逆に愛情を持っている相手だからここまで言えるのかなとも思いました。短くスッキリまとまっていて、大変好みの句です。(小笠原玉虫)


15.ポチ袋にこころばかりの陰毛(北大路京介)…4点


◎勢いと瞬発力で思わず特選に。いらねえよおおおおお!と思いつつ抗えませんでした。渡す側の人間の性別によって印象の変わる句。若妻だったらしっとりとした感じですが、男だったら「何考えてんの??」と小一時間問い詰めたくなりますね。(小笠原玉虫)
○これはまずいでしょ、さすがに。こころばかりって、あなた…。(十月水名)
○なんでそんなことすんねん。気づくか気づかないか程度に入れるのでしょうかね。いたずら心があるといいましょうか。親戚のお姉さんとかならいいですが、おじさんだったら最悪ですね。(木曜何某)


31.大寒の非常口兼出入口(五十嵐筝曲)…4点


○声に出すと楽しいです。非常口を常に使用しているという矛盾。鉄の重たそうな扉をイメージしました。大寒のドアノブは凍るほど冷たそう。(うぐいす)
○普段は非常口としてではなく出入口として通っているのだろうが、「大寒の」とつくだけで、非常口として通らざるを得なくなるような不気味な予兆を感じる。(藤井雪兎)
○まあすきま風はつらいもの(圓哉)
○田舎の旅館とかにありそうですね。非常口を設けなきゃいけないんだけど、そんなもの作る余地がなくて「非常口」という看板を出入り口の裏につけてごまかしているんでしょう。そんな情けない状況が、大寒という一年でいちばん寒い日に白日のもとにさらされているのです。出入口のはずなのに、出口がありませんw(タケウマ)
△こちら、何か好きなんですよね。一見分かりづらい。でもこう、ちょっと古びたビルの一室を住居にしちゃってて、そっちのが便利だからと日常的に非常口から出入りしちゃってるみたいな、ちょっとだらしない生活ぶりが目に浮かぶようです。そこへまた大寒というのがいい。うーさむさむ……とか言いながら、非常口から這い出てコンビニに行ったりするのでしょう。物語性がありますね。(小笠原玉虫)


37.  押入れのパソコンだけが知っている(jirotyo)…4点


○いろんなことを知り過ぎたパソコン。取り敢えず、それを押し入れに入れて無き者にして、すました自分で暮らしているけれど、いつ暴かれるかビクビクしているような屑っぷりに一票!(文月さな女)
○知っているのは秘密か思い出か。問い質すより、パソコンを調べた方が早い世の中になった。(藤井雪兎)
○いいね。捨てられずに押入れに押し込んであるノートPCなんだろう。分かる。うまくまとまってます。(北大路翼)
○いいですね。押入れっていう辺りが猟奇的な感じ。規制前に集めた児ポとかが入っていそう。壊してしまいたいのかもしれません。(椚人)
△当日会場で非常に話題になった句。「押入れの」が非常によいですね。これはもう今は使っていないパソコンなんですよ。若気の至り的な恥ずかしい何かが封印されていそうです。是非とも起動してファイルを全部吸い上げてほしくなります。(小笠原玉虫)


46.  パソコンの打ち出す文字にも香りあり(anomee)…4点


◎Twitter等を利用していて感じます。顔の見えないやり取りとはいえ、やはり人となりというのは滲み出るものなのかなと思います。勿論すべてが出る訳ではないのでしょうが、ほのかに香りを感じます。(mekeke)
○文字に込められた情緒・情念というやようなものの溢れ出る感じがよく表されていて、香りもですが、文字に色もついているような想像をしました。(詠美)
○細い指、しゃんと伸ばした背筋、静かなタイピング音。ほんのりと、シトラスの香水の香りを漂わせるビジネスウーマンの姿を想像できる。パソコンで打ち出された文字なんて、みんな同じなのに、その人の文章は読んでいてとても気持ちの良い文章なんだろうな。(桃子)
△これはいいですね。フォントによって雰囲気が変わるということを言いたいのかもしれないし、打つ人間によってちがう味わいがあると言いたいのかもしれない。どちらの意味にせよ、パソコンで打つ文字=活字なのに、それぞれの味わいがあるということに気付いた詠み人の感性に脱帽です。(小笠原玉虫)


11.初夢は火消しとなつて一安心(梶原由紀)…3点


◎サイテーな句かどうかはやや疑問ですが、なんか素朴なほのぼの感がでていてとても共感できました。(圓哉)
○年の頭から、おねしょしたんですか…。恐らく成人だろうと思いながら読みました。成人のおねしょにはなかなかのパンチがあります。そして悲しい。年の頭から。(mekeke)
△あらいなせな初夢。出初式のカッコいいお兄さんになっている夢でもみたのかな。頼りがいのある男性はステキですよね。(小笠原玉虫)


28.お鏡として供へたる三段腹(うぐいす)…3点


◎日々、何とかしたいけれど、どうにも出来ないで放置している三段腹。努力もしないで、このお腹に甘んじている屑の私。なぁんだ!活用方法あるやないの!三段腹も無駄じゃない。屑は屑らしいお正月を迎えるのさ!…なぁんて無理に決まってるじゃん!屑のお正月にピッタリの句ということで選びました。(文月さな女)
◯お供えにする三段腹なのだから、醜くないのだと思う。誇らしい三段腹なのだろう。きっと立派。(北大路京介)
△五七五で何を言っているんだと見た瞬間フハッと笑いが漏れました。供えられてしまうくらいなので有難い三段腹なのでしょう。ちゃかしておきながら愛を感じる句です。お鏡という柔らかい言い方も何か好き。一筋縄ではいかない有季定型です。(小笠原玉虫)


32.性癖の露見したらし年賀状(五十嵐筝曲)…3点


○あるある(笑)とおかしくなりました。何かの布地の柄から、お子さんのお洋服にお部屋の雰囲気やご結婚相手のお顔のタイプで音楽や好きなものまでわかるような事がありますね。楽しい作品ありがとうございます。 (琳譜)
○見たい。その年賀状が見たい。その後の二人の関係も気になります。句から、「鞭打たれ快い一年を」とか書いてしまったのかな、といらんことを考えておりました。返事には小さく「ぺちん」と書いてて欲しいなあ。(mekeke)
○らしい、ということは、バレてしまったのだろうか? と思うような動きがあったのでしょうか。そもそも何故年賀状にそのようなことを書いてしまったのか。想像が膨らみます。物語性のある句で、大好きです。(小笠原玉虫)


41.  パソコンの急所に的を描いておく(前田獺太郎)…3点


○五十嵐筝曲
○笑いました。「ここです」て!「急所はここです」て!なんで教えちゃうの?ていうかどこなの急所?ゴルゴに撃たれるの?「描いておく」てことは誰かのためなの?ツッコミどころが多すぎて、とにかく笑えます。(うぐいす)
○ここを押したらいけないところに描いているのか、それとも、ここを押したらフリーズが治るところに描いているのか。(木曜何某)
△壊す気満々だこれ!w 何故そこまでパソコンを壊したいのか。やっぱり表沙汰になってはならぬ情報が入っているのでしょうか。パソコンと的っていうのがシュールでありながら、何となくお正月ムードもあり、愉快な句です。(小笠原玉虫)


49.  数の子を尻で押しつぶして楽しい(二階堂きなこ)…3点


◎椚人
○五十嵐筝曲
△食べ物はたいせつに。(なかやまなな)
△当日会場で非常に人気があった句。何してはるのwwwと笑いつつ、楽しいと言い切られたのなら仕方がないと、妙な説得力があります。何かほんとに楽しくなってくるから恐ろしい。言い切り型の句を、わたくしも詠んでみたくなりました。(小笠原玉虫)


53.  パソコンよお前は俺を知り過ぎた(藤井雪兎)…3点


○正月早々「たんたんタヌキの…♪」歌が聞こえそうな緩い感じなのに五七五に収まってるとこがいいですね。(文月さな女)
○北大路翼
○ファイルフォルダもヤバいけどGoogle検索履歴もヤバいよね! 他人にあまり見せたくないよね! と、句会当日も非常に盛り上がった句。ちなみにわたくしの検索履歴には「逆レイプ原人 生還」と残っておりました。何じゃこりゃ。(小笠原玉虫)


06.霜は日にあたりぼくは影に湿る(圓哉)…2点


◎俳句はあくまで句として読まねばならぬものか、いや、もっと自由であっていいと考える時、これはひとつの立派な自由律であると思う。佇まいまでが瞼に浮かぶ。素晴らいと思います。(anomee)
△霜は日にあたって溶けて乾いていくけれども、詠み人は日向に出る気になれず泣き続けている状況なのでしょうか。日向でも、人のあまり来ない非常階段とか、都会にもありますよ。そっと出てきて日向ぼっこしてみて下さいね。(小笠原玉虫)


07.あらたまのふぐりの揺るる昼の闇(タケウマ)…2点


○昼間から暗がりで何をしているのだろう……と心配になりつつも気になる句。「あらたま」は「ふぐり」に対する駄洒落なのか。雅やかなことばづかいが情けない光景をやわらかく包んでいて、下品になり過ぎないところがよい。(梶原由紀)
○花揺れる昼である。にもかかわらず闇を歌う。ふぐりの花の物悲しさ、その気配     のよく詠めた秀作。(anomee)
△姫はじめでしょうか。お正月の真昼から、カーテンを閉めた薄暗い部屋でいたしているのでしょう。それを「ふぐりの揺るる」で表現した辺りがニクい。そうか揺れるよな~と思いました。(小笠原玉虫)


10.快速は停まらぬ歩廊で初茜(青条美羽)…2点


◎五十嵐筝曲
△こちらは状況が目に浮かびますね。大晦日、外で大勢でわあわあ飲み騒いで、快速の止まらない小さな駅に帰り着いて、元日の朝焼けを見たのでしょう。祭りの後のちょっとしたさみしさと、ほっと安堵する感じが漂っていて、大好きな句です。(小笠原玉虫)


24.結婚はまだかの声に棺桶を見るような目で黙っている(mekeke)…2点

○どうせ、あんたたち先に死ぬのに、何で心配するのよ、という目ですね。どうせ、同性愛ですよ!(なかやまなな)
○いいと思うよ。自由律俳句ってこんな感じだよね。自由律俳句をちゃんと勉強してる人が詠んだって感じ。棺桶を見るような目に笑った。(北大路翼)
△うるさい親戚っていますよね。でもそういうお節介さんは、結婚したらしたで子供はどうするの? 子供の高校はどこなの? 子供さんまだ結婚しないのと永遠にうるさいので、相手にしなくてよいですよ。棺桶を見るようなという表現も面白いです。(小笠原玉虫)


45.  寒の鳩パコパコパソコンに挟む(なかやまなな)…2点


○語感が良い。ノートパソコンなんだろうけど、ノートをつけなくて大正解!パソコンから、鳩を出す手品なのかな。嫌がる鳩を押さえつけて、無理矢理パソコンに挟もうとしているところが目に浮かぶ。(桃子)
○ずるこ
△シュールすぎてボクはもう。死んだ鳩をノートパソコンにぎゅっと挟もうとしている光景が目に浮かびました。一体何を……静かな狂気にジェラシーを覚えます。(小笠原玉虫)


54.  冬の虹出してパソコンしづかかな(二階堂きなこ)…2点

○好きです。絵が見えて、パソコンの放出する熱も伝わってきます。(さくら)
○ずるこ
△これは……一瞬平和な美しい光景? と騙されかけましたが、何か深刻なトラブルが起こっていそうです。しづかなパソコン。強い不安を掻き立てられます。それでいて、俳句としてはまとまっていて美しいという。句の持つ二面性に惹かれました。(小笠原玉虫)


01.書初や彼女の「熟女」やりなおし(十月水名)…1点


◯彼女が筆持って「熟女」と書き殴る姿はカッコ良くて可愛いんでしょうね。一度書いて気に入らなかったのか、やりなおす(書き直す)のがまた可愛い。(北大路京介)
△これは二つの意味にとれますね。彼女が「熟女」と書いたんだけど、若すぎるのか味がいまひとつでやり直しを命じたか、もしくは「熟女」って自分が書いてたら、それを見た彼女が熟女とは何だと怒ってやり直しを命じたのか。どちらにしても面白い句です。熟女って毛筆で書くのなかなか難しそうですね。(小笠原玉虫)


04.触れようとして、おつりがこぼれていく(木曜何某)…1点


○見透かされた下心。(なかやまなな)
△こちら、わたくしには少し難解な句でした。どういう状況なのだろう? こぼれていくのがおつりというのがよく分からないのですが、掴もうとしても掴めない的な寂しさを覚えました。もう少し語を足してみても面白いかもしれません。(小笠原玉虫)


18.にわとりを驚かせたり大根干す(桃子)…1点


○二階堂きなこ
△にわとり「ちょっ。ちょっ。一反もめん襲来!!!」(なかやまなな)
△こちら、句会当日に話題になった句。大根を干しながら、足元に集まってきた鶏を驚かせたりして遊ぶ。のどかな冬休みの光景ですね。最近は田舎でも鶏を庭に放し飼いのお宅は減りましたね……。(小笠原玉虫)


39.  買い立てのパソコン死しておらが春(小笠原玉虫)…1点


○パソコン、ほんとは買いたくなかったのかな。うん、自由を謳歌していいよ。
そう言いたくなります。(さくら)
△はい、わたくしの句です……12/28購入→31日にやっと初期設定して使い始める→1/3にラーメンのおつゆをぶっかけて即死させる、ってやったじぶんの体験を、悲しい気持ちでいっぱいになりながら詠ませて頂きました。(小笠原玉虫)


42.  パソコンを閉じて夜明けの息白し(梶原由紀)…1点


○これからも文明の利器は次々生まれてくるのだろうが、我々は冬の夜明けに白い息を吐く。(藤井雪兎)
△いいですね。夜が明けるまでパソコンに向かっていて、気が付けば部屋が寒い。誰にでも覚えのある光景と思います。閉じたあとはゆっくりお眠り下さいね。(小笠原玉虫)


55.  パソコンの微熱吹雪の村写し(北大路翼)…1点


○五十嵐筝曲
△ネットで吹雪のニュースを見ているのかなと思いました。熱を持ったパソコンと、遠くの吹雪の村との取り合わせがいいですね。吹雪の村に対して他人事みたいな目線なのもいい。こういう距離感て好きです。(小笠原玉虫)



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